研究領域 | 超温度場材料創成学:巨大ポテンシャル勾配による原子配列制御が拓くネオ3Dプリント |
研究課題/領域番号 |
21H05194
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
足立 吉隆 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (90370311)
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研究分担者 |
山中 晃徳 東京農工大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50542198)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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キーワード | SliceGAN / CNN画像回帰 / 変調構造 / データ同化 |
研究実績の概要 |
人工知能を使った超温度場材料創成の効率化を目指し、以下の四点を中心に取り組んだ。 (1)3枚の二次元断面像からの高解像度三次元像のBig-volume SliceGANによる生成(足立)(2)CNN画像回帰によるEBSD_OIMマップからの硬度の直接推定(足立)(3)316Lステンレス鋼の階層的構造解析による組織記述子の解明(孫)(4)データ同化を導入した非平衡マルチフェーズフィールド法による凝固組織形成シミュレーション(山中) いずれの結果も、積層造形法による材料開発を促進するものと思われる。深層学習を構造金属材料に適用した研究としては、いづれも先駆的な研究成果といえ、次年度以降の研究の促進、対象材料の拡大に期待が持たれる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
レーザー積層造形316Lオーステナイト系ステンレス鋼が、一般的なものよりも高強度であることが明らかとなった。その要因を探るべき、CNN画像回帰、スケールブリッジング解析、ならびに非平衡マルチフェーズフィールド法シミュレーションを行い、転位を含む転位せル、25nm間隔の変調構造、セル境界への合金元素の偏析(化学境界)の組み合わせが高強度の主要因となっており、これに加えて、画像回帰では方位分散に伴う有効結晶粒径が関連していることが伺われた。非平衡マルチフェーズフィールド法により、凝固時にわずかではあるがセル境界に合金元素が偏析する傾向が認められた。しかしながらこれらの複数の因子が高強度化につながっている内訳については今後の検討が必要である。 レーザー積層造形のプロセス条件が上の様々な組織に及ぼす影響については、レーザー走査速度の増加により転位セルサイズ、変更構造間隔も小さくなること、転位密度が若干増えることが明らかとなった。レーザーパワーの影響も今後解析することを通じて、定量的にその強化機構について議論を進める予定である。
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今後の研究の推進方策 |
CNN画像回帰モデルに微視的組織特徴量を入力できるように改造モデルを構築し、様々な組織因子と特性間を高精度で表現するモデルを構築する。また、プロセス条件とこれらの様々な組織とを関連付けるモデルの構築にも着手する。 非平衡マルチフェーズフィールドモデルを用いた凝固組織形成シミュレーションに関しては、積層造形時に形成する溶融池を模擬したシミュレーションを可能とするために、GPUによる高速化やその場観察データを活用した凝固組織形成シミュレーションの精度向上を目指す.
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