合成実験に要するマンパワー削減のため、自動実験装置の開発を行った。合成実験はいくつかの種類があるが、2021年度は複数条件でのサンプル採取が比較的容易であると考えられるフロー合成実験を対象として検討を行った。自動実験装置は市販されているものもあるが高価であり、また限られた種類の合成にしか対応できない。 本研究では研究開発をすすめるにあたり、化学実験の合成手順が多様であることに注目した。自動実験が広く活用されるためには、安価かつ柔軟性の高い装置の構築が必要である。これを実現するには、必要な実験機器を選択してフロー実験装置を構築したのち、迅速に制御システムを構築できることが重要である。本研究では、市販の理化学機器をIoT化し、それらをネットワークを介して制御する方式が最適と判断し、自動実験システムの開発を進めることとした。まず、実験手順や実験機器などの情報を管理するためのデータベースを設計した。実験機器をIoT化するための通信システムを開発し、さらには多くのIoT化された実験機器を制御するためのサーバーを開発した。 開発したシステムを使って理化学機器の遠隔操作実験を行った。対象の機器としてシリンジポンプおよび恒温槽を取り上げ、IoT化した。開発したシステムを用いて実験機器の遠隔操作試験を行ったところ、良好に動作することが確認された。開発したシステムはロボットアーム等と組み合わせることである程度のバッチ実験にも対応可能と考えられる。
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