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2021 年度 実績報告書

データ駆動手法による素反応条件およびアウトプット予測と実証

計画研究

研究領域デジタル化による高度精密有機合成の新展開
研究課題/領域番号 21H05223
研究機関京都大学

研究代表者

松原 誠二郎  京都大学, 工学研究科, 教授 (90190496)

研究分担者 倉橋 拓也  京都大学, 工学研究科, 准教授 (50432365)
研究期間 (年度) 2021-09-10 – 2026-03-31
キーワード自動合成 / 機械学習 / 反応予測
研究実績の概要

自動合成システムの構築に焦点を当てた。本システムは,1) 自動合成経路解析,2) 自動反応条件設定,3)自動合成装置の三要素が連動することにより実現する。自動合成経路解析は,Synthiaの利用を決定した。実際,デジタル有機合成の先進国である英国での製薬会社GSK(グラクソスミスクライン)においても,逆合成経路解析システムとしてSynthiaを利用するとした。2)の自動反応条件設定は,中でもMITのJensen, Coley両教授が開発したReaction Conditions Recommender (RCR: ACS Cent. Sci. 2018, 4, 1465)が評価が高かったが,2022年3月にSynthiaの開発者のB. A. Grzybowskiが,このシステムの的中率が,40%切るという論文を発表した(J. Am. Chem. Soc. 10.1021/jacs.1c12005)。本論文は,決してRCRが不適切ということではなく,3)の自動合成装置の開発と実際の合成反応を行うことの重要性を示したものと言える。本研究では,RCRの利用を続けた。3)の自動合成装置の開発においては,Cronin(グラスゴー大)が示した“Chemputor”を試作し,CroninがGithubにおいて公開している制御プログラムをプログラミングの知識を持たない実験者が使用できるように,ビジュアルプログラミングに書き換え,実験手順の入力が極めて容易にした。本体は,Cronin-Chemputorの性能を十分再現できるものとなったが,現時点では,エステル化・アセタール化・アミド化において0.3molの実験が可能であることを示せた。また,反応のアウトプット予測の一環として,反応速度グラフの予測を行い,機械学習により回帰式を求めることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自動合成のシステムを形成することはできたが,実用性となると,手作業の方が早いのではないかという率直な感想を持ってしまう。機械学習によるアウトプット予測も,反応を実施する「実データ」に代わるものか,正直疑問を持つ。これは,デジタル有機合成技術一般に言えるものである。

今後の研究の推進方策

今後の研究の方向性は以下の2点である。
1)現在成果を得ている反応速度グラフの予測を発展させる。具体的には多官能基化基質の位置選択性を予測すること。また,自分たちの反応データではなく,既存の文献データで試みることである。これは22年度にかなりの程度で実現してきている,
2)実験手順のプログラミングの簡素化が必要である。具体的には,論文のSIは,現段階でオープンアクセスであり,重要なデータソースとして非常に興味深い。この文章をから自動合成のプログラムの生成を行うことを目的とする。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2021 その他

すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 3件)

  • [国際共同研究] Queensland University(オーストラリア)

    • 国名
      オーストラリア
    • 外国機関名
      Queensland University
  • [雑誌論文] Unmasking Inherent Chirality within the Cubane Skeleton2021

    • 著者名/発表者名
      N. Yoshino, Y. Kato, Y. Shimada, C. M. Williams, S. Matsubara
    • 雑誌名

      Israel Journal of Chemistry

      巻: 61 ページ: 380-386

    • DOI

      10.1002/ijch.202100013

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] PREPARATION OF 2-ARYL-3-SILYL- AND 2-ARYL-3-GERMYL-1,3-BUTADIENES VIA ARYLNICKELATION AND ZINCIOMETHYLATION2021

    • 著者名/発表者名
      N. Yoshino, B. Sharewa, Z. Ikeda, S. Matsubara
    • 雑誌名

      Heterocycles

      巻: 103 ページ: 769-777

    • DOI

      10.3987/COM-20-S(K)36

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Catalytic asymmetric cycloetherification via intramolecular oxy-Michael addition of enols2021

    • 著者名/発表者名
      R. Murata, K. Asano, S. Matsubara
    • 雑誌名

      Tetrahedron

      巻: 97 ページ: 132381

    • DOI

      10.1016/j.tet.2021.132381

    • 査読あり
  • [学会発表] 有機合成のデジタル化2021

    • 著者名/発表者名
      松原誠二郎
    • 学会等名
      第82回応用物理学会秋季学術講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 有機合成のデジタル化2021

    • 著者名/発表者名
      松原誠二郎
    • 学会等名
      2021年度化学工学会第87回年会
    • 招待講演
  • [学会発表] 有機合成のデジタル化2021

    • 著者名/発表者名
      松原誠二郎
    • 学会等名
      2022年日本化学会第102春季年会基調講演
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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