研究領域 | 神経回路センサスに基づく適応機能の構築と遷移バイオメカニズム |
研究課題/領域番号 |
21H05239
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
堀江 健生 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10455925)
|
研究分担者 |
尾崎 遼 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (10743346)
佐藤 ゆたか 京都大学, 理学研究科, 准教授 (40314174)
|
研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
|
キーワード | ホヤ / 適応回路 / 単一細胞トランスクリプトーム解析 / 細胞分化 |
研究実績の概要 |
本研究課題は、脊索動物の中で最も単純な神経系を持つホヤの幼生をモデルとして、シングルセルトランスクリプトーム(scRNA-seq)解析を駆使し、適応回路を担う神経細胞種をセンサスすることにより、適応回路の基本設計(回路発生・回路構築・回路機能)を解明することを目指した研究である。 本年度は主にホヤ幼生の表皮神経回路をモデルとして、回路発生に関する研究を行った。表皮には外界からの刺激を感知する表皮感覚神経細胞が多数存在している。これらの表皮感覚神経細胞は生物が外界からの刺激に応答するために重要な働きをしており、生物の生存に必須である。ホヤ幼生には頭部に5種類(PNs: Palp Neurons, PSCs: Palp Sensory Cells, RTENs: Rostral Trunk Epidermal Neurons, aATENs: anterior Apical Trunk Epidermal Neurons, pATENs: posterior Apical Trunk Epidermal Neurons)、尾部に2種類(BTNs: Bipolar Tail Neurons, CESNs: Caudal Epidermal Sensory Neurons)の合計7種類54個の表皮感覚神経細胞が存在することが知られている。 単一細胞トランスクリプトーム解析と実験発生生物学的な手法を組み合わせた研究の結果、ホヤ幼生の表皮感覚神経細胞に共通して発現する転写因子としてPOUIVを同定しPOUIVが表皮感覚神経細胞の分化に必須の役割をしていることを明らかにした。さらに、POU IVを過剰発現した個体のおけるscRNA-seq解析を行った結果、ホヤに存在する表皮感覚神経細胞のうちBTNsの分化を制御する遺伝子ネットワークを明らかにした。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
シングルセルトランスクリプトーム(scRNA-seq)解析を駆使し、適応回路を担う神経細胞種をセンサスすることにより、適応回路の基本設計(回路発生・回路構築・回路機能)を解明することを目指した研究を行っているが、scRNA-seq解析の発生、機能解析への応用が着実に進んでいるため。
|
今後の研究の推進方策 |
今後はscRNA-seq解析の発生への応用だけでなく、回路構築や回路機能の解析への応用を進めて行きたい。そして、ホヤの幼生をモデルとして、適応回路の基本設計の解明を行う。
|