本研究では、クライオ電子線トモグラフィーを用い上皮細胞の形態形成のメカニズムを分子レベルから解明する。上皮細胞は、外界と臓器の「インターフェー ス」に当たり、臓器の機能に応じて様々な形態を取る。本提案では、これまで我々が研究してきた繊毛に加え、小腸の微絨毛や耳の不動毛など、これまで全く未 開拓であった脊椎動物の上皮組織を対象とする。この目的のために、クライオ電子顕微鏡用の新しい細胞内標識「形状ラベル」を開発・応用することで、上皮の 形態形成のメカニズムを解明する。本年度は、研究計画に沿って精子形成における新たなモーター系「マンシェット流」のモーターを同定、(A2) 繊毛の構造解析 を推進した。具体的には、本年度はクライオ電子線トモグラフィーのデータ収集の効率向上と、解像度向上の為に、Parallel cryo electron tomographyという方法をRadostin Danevらと開発し、1度のチルトシリーズで3.1 オングストロームの解像度でribosomeの構造を解くことに成功した。また、細胞内をトモグラフィーで観察する為にFocused ion beam-SEMに統合型の蛍光顕微鏡を導入した。
|