研究実績の概要 |
(1) オートファゴソーム膜変形を促す因子のIn-cell、On-membrane解析:鉄貯蔵タンパク質であるフェリチンがNCOA4とともに液滴を形成し、マクロオートファジーとミクロオートファジーの共通基質になることを論文として報告した(Ohshima et al., JCB, 2022)。フェリチン液滴が膜と相互作用する際の詳細局在をin-cellで解析するため、形状ラベルをCRISPR法でノックインし、(3)のオートファジー定量法と組み合わせて機能解析を行った。フェリチン液滴と隣り合って局在するp62液滴についても同様のノックインを行い、in-cell解析の準備を進めている。 (2) 2つのオートファジーでの「仕分け」と選択的オートファジー始動メカニズムの解析:フェリチン液滴がマクロオートファジーとミクロオートファジーの両経路に仕分けされる分子メカニズムの解析を行い、RAB5Q79L誘導性発現細胞を用いることでミクロオートファジー特異的因子を同定した。この因子のノックアウトではフェリチン液滴ミクロオートファジーは阻害されるものの、p62液滴ミクロオートファジーには影響がなく、液滴オートファジーの機能分化を解明するための示唆的結果を得た。また、TAX1BP1によるオートファジー関連タンパク質のリクルートメカニズムの解析を行い、ATG9小胞上のSCAMP3がTAX1BP1と相互作用することでATG9小胞をリクルートすることを明らかにした(論文準備中)。 (3) 新規蛍光プローブを利用した液滴オートファジー定量法とスクリーニング系の確立:領域内共同研究で開発されたpH応答性蛍光プローブをHaloTag-NCOA4に導入し、昨年度までに行った液滴オートファジーの新規スクリーニング系を使って一次スクリーニングを行った。HaloTagを利用した新規オートファジー活性定量法を確立した(Yim et al., eLife, 2022)。他に領域内共同研究で、新規手法によるマイトファジー誘導実験を行った(論文改訂中)。
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