計画研究
本研究課題では、気候変動下において、国土の2/3を占める森林の機能を最大化するために、ゲノム・形質・生態を有機的に連結した新しいアプローチを提案・実行することを目的としている。本課題には、2つの研究グループがあり、形質チームはドローンLiDARを使い、森林生産を決定する樹冠構造を明らかにし、ゲノムチームは、温暖化に伴う樹種の生育適地が移動とその適応の程度を、ゲノムレベルから明らかにしようとしている。R4年度においては、形質チームは、R3年度に確立したLiDARドローンによる森林調査方法を、全国の11の森林固定試験地に適用し、異なる森林で、空撮データと地上データを統合させ、樹種によって異なる樹冠アロメトリー情報を評価した。またR3年度に和歌山で行ったパイロット調査の結果の論文化を進めた(投稿中)。ゲノムチームは、樹木が浸透交雑によって、温暖化などの環境変動に適応する能力を獲得するプロセスについて、コナラとミズナラおよびハイマツとキタゴヨウをモデル樹種として、国内の異なる地域で、標高傾度に沿って集中サンプリングを行った。また、滋賀県の蛇谷ケ峰において、低地から高地まで採取した種子を用いて、北白川試験地にて栽培実験を行い、現地環境の効果を排除して、遺伝的な形質の違いを評価した。北半球に広く分布するアキノキリンソウの北極圏環境への適応分析では,北極圏集団の系統的由来を明らかにするために,ユーラシア大陸全域から採取した試料を対象に縮約ゲノム分析による系統地理解析を実施した。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに進んでいるため
引き続き、形質チームとドローンチームがそれぞれの課題を進めつつ、ゲノム・形質・生態を有機的に連結した新しいアプローチを検討していく。形質チームは、ドローンLiDARによる森林調査をもう10ヶ所ほどで行い、日本全国スケールでの解析を進める。またゲノムチームも、新たな調査地を増やし、温暖化に伴う樹種の生育適地が移動とその適応の程度を、広範囲かつ詳細に明らかにしていく。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (19件) (うち国際共著 6件、 査読あり 19件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (34件)
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