研究領域 | デジタルバイオスフェア:地球環境を守るための統合生物圏科学 |
研究課題/領域番号 |
21H05319
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
加藤 知道 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (60392958)
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研究分担者 |
立入 郁 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), グループリーダー (30336185)
羽島 知洋 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), グループリーダー代理 (40533211)
相田 真希 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(地球表層システム研究センター), グループリーダー (90463091)
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研究期間 (年度) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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キーワード | 物質循環 / 海洋生態系 / 陸域生態系 / 生態系モデル |
研究実績の概要 |
テーマ1 地球システムモデルによるシミュレーション実験:陸域生態系モデルは、陸域生態系モデルVISITに光合成の温度とCO2に対する順化式を実験データのメタ解析論文(温度: Kumarathunge et al., 2019, CO2: Poorter et al., 2021)から引用し、Farquhar von Caemer Ballの光合成モデルに組み込んだ。そしてFluxnetより地上渦相関タワー観測による20年以上の長期GPPおよび微気象データを10のサイトからダウンロードし、本VISITモデルと比較した。その結果、式の導入そのものはGPP長期上昇・下降トレンドを数%から10%程度低下させるものであったが、観測GPPとの比較では明瞭な精度の向上等はみられなかった。またリン酸循環については、モジュール導入後ハワイの2箇所のCNPのデータと比較し、概ね再現性が確保できることがわかった。そして両者ともMIROC-ES2Lへの導入作業を開始した。海洋生態系モデルは、1/4解像度COCOに、水温や光環境・栄養塩取込時の生理学的なトレードオフに基づく植物プランクトンの動的環境適応(FlexPFT)を実装した。 一方、植物プランクトンの炭素・窒素比の空間分布について、全球平均のCN比はレッドフィールド比よりも高くなることが示された。植物プランクトン種が変わらなかった場合、栄養塩濃度の低下とともに、植物プランクトンのCN比(全球平均)は上昇するが、大型(珪藻)から小型(シネココッカス等)に移り変わった場合、CN比は低下することが示唆された。 テーマ2 マルチ地球システムモデル結果解析:CMIP6に参加した複数の地球システムモデルの結果のうち、昨年度と同様の実験について陸域の一次生産を解析したところ、気候変化に対する一次生産の地域別応答に、一定の類似パターンがあることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
陸域生態系やマルチモデル解析では着々と実験の準備が整っており、海洋生態系では投稿論文も出版された。
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今後の研究の推進方策 |
テーマ1 地球システムモデルによるシミュレーション実験 引き続き陸域生態系モデルについては、光合成の温度・CO2依存性に関する順化の式について、陸域生態系物質循環モデルVISIT単体から、MIROC-ES2L内のVISITに移植作業とその挙動確認を行なう。リン酸循環についても、単体VISITからMIROC-ES2LのVISITに移植を行う。海洋生態系モデルに関しては、一次生産者の動的環境適応と海洋に有機物として保存される炭素量の関係や地域性の違いについて検証を行う。 テーマ2 マルチ地球システムモデル結果解析 引き続き環境変化に対する陸域生態系・炭素循環の応答を複数地球システムモデルのシミュレーション結果を用いて解析する。
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