計画研究
特定領域研究
高 IgE 症候群は、アトピー性皮膚炎・血清 IgE の著しい高値に黄色ブドウ球菌による皮膚膿瘍と肺炎を合併する原発性免疫不全症である。最近我々は、STAT3 のドミナントネガティブ変異が高 IgE 症候群の主要な原因であること、さらに皮膚と肺の黄色ブドウ球菌感染症には Th17 細胞の機能低下が関与していることを報告したが、それ以外の病態形成機構には不明な点が多い。そこで、今回われわれは STAT3 の分子異常がどのようなメカニズムでアトピー性皮膚炎と高 IgE 血症を引き起こすかを検討した。高 IgE 症候群の樹状細胞ではIL-10 のシグナル伝達が障害されており、樹状細胞上の抑制分子、PD-L1, PD-L2, ILT-3, ILT-4の発現が低下していることが明らかになった。そのため、誘導性の制御性 T 細胞(induced regulatory T cell; iTreg cell)の分化誘導が低下しており、T 細胞の増殖抑制、サイトカインの産生抑制が障害されていた。この iTreg 細胞の誘導障害が、高 IgE 症候群に特徴的なアトピー性皮膚炎と高 IgE 血症の発症に関与している可能性が示唆された。
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