研究領域 | ネアンデルタールとサピエンス交替劇の真相:学習能力の進化に基づく実証的研究 |
研究課題/領域番号 |
22101006
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
荻原 直道 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (70324605)
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研究分担者 |
鈴木 宏正 東京大学, 先端科学技術研究センター, 教授 (40187761)
近藤 修 東京大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (40244347)
中務 眞人 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (00227828)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 仮想復元 / 形状モデリング / 化石脳 / ネアンデルタール / 進化 |
研究実績の概要 |
頭蓋骨の形態変異を記述したデータベースを構築するためには、頭蓋表面上の解剖学的特徴点の座標値を計測する必要がある。しかし、こうした特徴点は、顔面頭蓋には多数存在するものの、形態的特徴に乏しい脳頭蓋上にはほとんど存在しない。そこで、脳頭蓋全体に特徴点を配置する手法を開発した。具体的には、取得可能な解剖学的特徴点間を結ぶ最短経路を求め、その等分点を特徴点と定義することで、脳頭蓋全体に特徴点を配置した。これをテンプレートとして、全標本にスライディングランドマーク法を用いて特徴点を配置した。これに基づいて現代人頭蓋骨データベースを構築した。本手法を用いて現代日本人頭蓋骨形態の変異傾向の抽出を試みた結果、変異傾向の特徴や性差を検出することが可能となった。
また、このリファレンスデータに基づいて化石頭蓋骨の欠損部位を補間する手法を確立した。具体的には、欠損部分の特徴点座標を従属変数、それ以外の座標を独立変数として多変量回帰式を求め、欠損のある標本に適用することで欠損部位の座標を推定した。このようにして推定した欠損部の特徴点座標を利用して、薄板スプライン関数によりリファレンス形状を変形させることで、欠損部分の補間を行った。現代人頭蓋骨の一部を仮想的に欠損させ、その補間を行った結果、真値とほぼ一致した補間を実現することが可能となった。
また、C02班と共同で、化石頭蓋骨の脳形態を数理的に推定する手法の具体的手法を検討した。具体的には、現代人頭蓋骨を化石頭蓋骨へ変形させる関数を、DARTELを用いて記述し、それに基づいて現代人の脳形状を変形させることで、化石頭蓋骨に収まる脳の形態を計算的に求めることを試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
化石頭蓋とその脳鋳型を精密に復元する上で必要な手法を開発し、その中に収まっていたはずの脳(化石脳)の仮想復元を行う道筋が立ちつつあるから。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの予備的な結果を詳細に評価し、そのフィードバックを基に必要なソフトウェアの改良を行う。そして、Amud 1号以外の頭蓋化石にも本システムを適用し、それぞれ頭蓋、および化石脳の復元を行う。
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