計画研究
我々の研究目的は、この新学術領域研究全体の仮説である「旧人と新人の交替劇の原因は両者の学習能力差にあった」を、ネアンデルタール人および同時代に生きたホモサピエンスのCTデータと、現代人のCTおよびMRIデータを用い、計算解剖学による比較アプローチと現代人を対象とした脳機能マッピングを組み合わせて用いることにより、神経科学の観点から実証的に検証することであった。平成26年度は、現代人脳機能マップの作成に関しては、これまでに引き続き創造的社会の形成と維持の観点から社会能力や遊びに関する神経基盤を調べる実験をおこない、その成果の一部を研究会・学会・論文などで発表した。またこれに平行し、昨年に引き続き学習能力差に関与すると考えられる認知コンポーネントのメタアナリシス解析を行った。旧人のエンドキャストさらには化石脳を復元する研究においては、昨年度完成させたプラットフォームを用いて、ネアンデルタール人3個体、同時代に生きた新人4個体についてエンドキャストと化石脳復元を行い、さらに現生人類(東洋人と西洋人を合わせた1189個体)との形態比較を行った。その結果、旧人に比べ新人の方が小脳および頭頂葉が大きく、予想された前頭葉に関しては差がないことが見いだされた。この傾向は同時代に生きた新人との比較でも見られ、特に小脳の大きさに差があった。逆に旧人は新人に比べ大きな後頭葉を持っていた。これを受け、現生人類のデータで認知機能と小脳容量の関係を調べたところ、多くの認知課題で正の相関が見られ、特に言語と注意に関して顕著であった。これらの結果は小脳の機能差が旧人と新人の交替劇に影響を及ぼしたことを示唆したが、同時に、その差は新人のバリエーション内に収まるもであり、これが交替劇の主要因であると考えることも難しく、別の要因や複数の要因の複合的結果としての交替劇を想定する必要があることも示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
新学術領域研究「交替劇」のホームページ
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