研究分担者 |
土谷 浩一 (独)物質・材料研究機構, 元素戦略材料センター, グループリーダー (50236907)
飴山 惠 立命館大学, 理工学部, 教授 (10184243)
山崎 徹 兵庫県立大学, 工学研究科, 教授 (30137252)
三浦 博己 電気通信大学, 電気通信学部, 准教授 (30219589)
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研究概要 |
昨年度に引き続き、巨大ひずみプロセス、多軸鍛造プロセス、粉末加工プロセスをはじめ、ひずみが介入しない電解析出プロセスを用いてナノメタルの作製を試みるとともに、機械的特性を中心に評価した。 1.本研究の共通試料であるCu-Zn合金を高圧ねじり(High-Pressure Torsion: HPT)による形状不変強加工プロセスで巨大ひずみ加工し、微細組織観察を行うとともに、ナノ結晶化に積層欠陥エネルギーがナノどのようなかかわりを持つかについて調べた。また、新たにジルコニア粉末にHPT加工を適用して、相変態がHPT加工中に進行するのを確認するとともにHPT加工後にナノ結晶粒組織が形成できることを確認した。 2.さらに、非平衡性の高いバルクナノメタルの形成に関する研究を行い,Zr-Cu-Al系合金の加工誘起非晶質化により得られた非晶質相がガラス転移を示す事をDSC測定と粘弾性測定から明らかにした。またβ-TiやFe_2VAlについてもナノ結晶化し,その機械的特性,磁気特性について調べた。 3.Mg合金とCrZn系合金の多軸鍛造を行い、その組織と特性について詳細に調査した。難加工性材のMg合金では冷間多軸鍛造を可能とし、650MPaの高強度を達成した。また、Cu-Zn系合金では強圧延材との比較から、結晶粒超微細化は変形双晶によって支配され、1GPa以上の極めて高い強度が得られた。 4.金属粉末の超強加工法によるナノ結晶化と固化成形プロセスによるバルクナノメタル材料の創製を目的とし,オーステナイトケイステンレス鋼,フェライトケイステンレス鋼,チタン系合金,Cu等について微細組織形成について詳細な検討を行った.オーステナイト系ステンレス鋼SUS304では,特定の条件において焼結体がTRIP現象を示し,高強度かつ大きな塑性変形能を示すことを見いだした。 5.高強度・高延性を有するNi-W系ナノバルクメタルの電解析出法による作製条件について検討した。昨年度、導入した電気泳動装置により、電解液中の金属イオンの定量分析が迅速に実施できようになり、最適のNiイオン添加量を決定することができた。これにより、試料の作製ごとに見られた材料強度のばらつきを大きく抑制することができた。また、延性のある純Ni層を積層することにより応力集中を緩和させることができ、約2500MPa以上の引張強度と1%以上の加工硬化を伴う塑性伸びを安定化して発現できることを明らかにした。
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