研究領域 | バルクナノメタル ー常識を覆す新しい構造材料の科学 |
研究課題/領域番号 |
22102005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
柳本 潤 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90220194)
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研究分担者 |
柳田 明 東京電機大学, 工学部, 准教授 (20432065)
井上 忠信 独立行政法人物質・材料研究機構, 元素戦略材料センター, グループリーダー (90354274)
土田 紀之 兵庫県立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (90382259)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | 金属組織制御 / ナノ構造 / バルク材料 / 強ひずみ加工 / 材料強度 / 数値シミュレーション / 物理シミュレーション / 材料試験 |
研究概要 |
本計画研究班では、相変態を含む加工・熱処理プロセスによるバルクナノメタル創製を,計算機シミュレーションと物理シミュレーションによって,金属学(metallurgy)および加工学(forming)に基づき多面的に検討し,新プロセス提案(synthesis)に繋げるべく定量的に解明(analysis)する.材料としては,単純組成鉄鋼(0.15%C-0.2%Si-1.4%Mn),ならびに0.03%Nb添加鋼を対象とする. 『塑性変形限界の真の応力-ひずみ関係に関する基礎データの確立』『強せん断変形によるバルクナノメタル創製の物理ミュレーション』『加工ひずみ制御によるバルクナノメタル創製の有限要素シミュレーション』『塑性加工限界のマルチスケールシミュレーションのための基礎データの確立』を研究課題として、昨年度に引き続き研究を実施した.各研究課題の新鮮な成果の共有と共同研究の促進のために年間4回程度の研究班会議を実施しており,累計開催数は14回となった.平成25年度の一連の共同研究により明らかとなったことを以下にまとめる。 ①炭素量の増加により均一伸びはわずかに増加するが,変形限界の真ひずみを大きく低下させる.②せん断帯を含みにくい圧縮変形を可能とするダンベル試験片による圧縮試験を新たに考案し,中止めせん断変形試験との比較実験を実施している.③3サイクルARBの有限要素シミュレーションを実施し,相当ひずみの定量化に成功し,効率的にバルクナノメタルを創成するARBの圧延条件を提示した.④アルミ粉末潤滑剤の使用により熱間ECAEが可能となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H25年度も研究計画に従って粛々と研究を進めており、研究目的と照らし合わせた研究の達成度は、おおむね順調であると判断できる。H24年度に実施された領域全体の中間評価でも、「評価結果:A (研究領域の設定目的に照らして、期待どおりの進展が認められる)」と判定されている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるH26年度は、以下の手順で研究を進める。物理シミュレーションと同期させつつ、強せん断変形を導入したひずみ解析,粒内核生成理論をもとにした組織形成解析を確立し,バルクナノメタル創製の原理を解明する(柳本,井上).また,鉄鋼材料とアルミを中心にECAE法など超微細粒組織を創製できる強加工プロセスを利用して目的の材料を作製し,あるいは本研究で新開発の物理シミュレーションで提案されたプロセスによってバルクナノメタルを作製し,同様の方法によって真の応力-ひずみ関係の測定を行う(土田).急速冷却可能な連続繰り返し熱間ECAE試験機を開発し,巨大反転変形を受けた材料の相変態前後の結晶構造変化を研究し,同時に計算機シミュレーションモデルを構築する(柳田).以上の結果を,効率的なバルクナノメタル創製プロセスの提案に繋げる.-ひずみ関係を元にした新たな視点からの変形挙動の整理を試みる(土田,柳田).
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