研究領域 | 対称性の破れた凝縮系におけるトポロジカル量子現象 |
研究課題/領域番号 |
22103004
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
鄭 国慶 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50231444)
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研究分担者 |
稲田 佳彦 岡山大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (80273572)
野島 勉 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80222199)
上野 和紀 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (10396509)
獅子堂 達也 広島大学, 大学院・先端物質科学研究科, 助教 (20363046)
瀬川 耕司 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (20371297)
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キーワード | 空間反転対称性の破れ / 超伝導 / トポロジカル絶縁体 / 電気二重層トランジスタ |
研究概要 |
本年度に得られた成果を列挙する。 (1)空間反転対称性の破れた超伝導体Li_2(Pt_<1-x>Pd_x)_3Bの作製しNHR測定を行い、スピン軌道相互作用の変化と超伝導状態の変遷を調べた。その結果、超伝導対称性がX=0.8を境に急激に変わることを明らかにした。すなわち、x<0.8の領域ではスピン-重項で等方的なギャップをもつ状態が支配的で、x>0.8の領域ではスピン三重項で異方的なギャップをもつ状態が支配的であることを見出した。その背後にある原因はPt(Pd)B_6八面体の歪みがx>0.8では急激に増大することにあることを見出した。この歪みの増大がスピン軌道相互作用を増大させた原因であり、スピン三重項混成の主原因であることを明らかにした。 (2)タリウム系トポロジカル絶縁体のSe-S固溶物質について、表面状態にこれまでの知見で説明できないギャップが開くことを明らかにした。 (3)トポロジカル絶縁体Bi_2Se_3の類縁物質Bi_<2-x>Sb_xTe_<2-y>Se_yの特定の組成でバルク絶縁性が飛躍的に高まることを見出した。これまでで最も超伝導特性の良いCu_xBi_2Se_3の単結晶作製の方法を確立し、ソフトポイントコンタクト法によりゼロバイアスコンダクタンスピークを観測した。この発見により、この物質がトポロジカル超伝導体である可能性が高いことがわかった。 (5)電気二重層トランジスタ構造を用いたSrTiO_3単結晶(100)表面の電界誘起表面超伝導の転移温度や超伝導膜厚等のキャリア数依存性において、バルク超伝度とは異なる自己組織化機能と呼べる特徴的な現象があることを見出した。 (6)電気二重層トランジスタ構造によるキャリア制御技術を、SrTio_3と同様な結晶構造をもつ銅酸化物超伝導体のYba_2Cu_3O_y系にも適用し、この系の薄膜試料を絶縁体状態から超伝導状態へ可逆的に転移させることに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空間反転対称性の破れた超伝導体に関しては予想通りに研究が進み、トポロジカル絶縁体に関しては新物質と新現象の発見が相次ぎ、大きく研究が進展した。また、電気二重層トランジスタ構造による超伝導の誘起も技術的な突破があった。
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今後の研究の推進方策 |
空間反転対称性の破れた超伝導体Li_2(Pt_<1-x>Pd_x)_3Bの単結晶作製に力を入れるとともに、新規物質の探索を引き続き行う。また、トポロジカル絶縁体にキャリアドープした超伝導体の質向上を行い、トポロジカル超伝導の研究分野を切り拓く。
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