研究領域 | コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス |
研究課題/領域番号 |
22104009
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
倭 剛久 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90251587)
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研究分担者 |
光武 亜代理 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (00338253)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 分子シミュレーション / 電子状態計算 / 生物物理 / 計算物理 / 分子科学 |
研究実績の概要 |
タンパク質の活性部位の電子状態計算は分子機能を知るために肝要である。特に分子内にフラビンを含む青色光受容体ファミリーの仲間は、立体構造がお互いに酷似しているにも関わらず、DNA修復、概日リズム、植物の成長制御や渡り鳥の磁気センサーなど多岐にわたる機能を実現する点で興味深い。そこでは、光誘起電子移動反応やプロトン移動反応など電子と核が織りなすタンパク質反応が精密なメカニズムを支えている。その分子機能の生物物理学的基盤を探るため、FMO-LCMO法(Tsuneyuki et al. Chem. Phys. Lett. 476, 104(2009))を用いて活性部位の波動関数を求め、さらにGeneralized Mulliken Hush法を用いて、フラビンが関わる電子移動経路の解析に取り組んだ。 蛋白質のシミュレーションから動的情報を抜き出すための解析手法である緩和モード解析の開発を行った。特に、自由度の大きいタンパク質にこの手法を適用するための方法論を開発した。そして、100残基程度のタンパク質系に適用し主成分解析との比較を行った。この際、タンパク質のシミュレーションには専用ハードウェア-であるMD-GRAPE3やGPGPUを搭載した計算機を用いた。本方法により、多自由度のタンパク質にも緩和モード解析を適用可能になった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体系の問題について、構造構造空間探索と反応の解析の新手法を開発し、さらに、実験と連携してあらたな研究の展開をみることができた。
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今後の研究の推進方策 |
連携研究者の岡本祐幸教授(名大)は、あらたに公募班として領域に参画することになった。タンパク質の電子状態計算について、さらに研究を進展させるとともに、領域内の他の研究班との連携をさらに模索していきたいと考えている。
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