研究領域 | コンピューティクスによる物質デザイン:複合相関と非平衡ダイナミクス |
研究課題/領域番号 |
22104009
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
倭 剛久 名古屋大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (90251587)
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研究分担者 |
光武 亜代理 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (00338253)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | 分子シミュレーション / 電子状態計算 / 生物物理 / 計算物理 / 分子科学 |
研究概要 |
分子内にフラビンを含む青色光受容体ファミリーの仲間は、立体構造がお互いに酷似しているにも関わらず、DNA修復、概日リズム、植物の成長制御や渡り鳥の磁気センサーなど多岐にわたる機能を実現する点で興味深い。本年度は、青色光受容体の活性部位における機能制御機構を調べるため、システマティックにアミノ酸置換を施した分子モデルを作成して構造安定性に関する比較検討を行った。 タンパク質反応のメカニズムを理解するため、アミノ酸間の相互作用ネットワークを解析すると役に立つ。われわれはEnergy Exchange Network(EEN)の解析によりPDZ3ドメインのアロステリーに関して詳細な計算を行った。そして、CURP(CURrent calculation for Proteins)プログラムを用いて分子動力学シミュレーションの軌跡から自動的にEENを表示する機能を開発した。 蛋白質のシミュレーションから動的情報を抜き出すための解析手法である緩和モード解析の開発を行った。特に、フォールディングなど構造が大きく変化する系に関して、本方法の有効性について検討した。 また、これまで、効率の良いサンプリング手法である拡張アンサンブル法をスリッドに閉じ込められた水の系に適用してきた。厚さhが0.54nsから0.72nsの間のいくつかの値の場合でスリッド幅を固定した体積とエネルギーに対するマルチカノニカルシミュレーションを実行し、スリッド系の水の固液相転移に関する研究を行った。今回特に、自由エネルギーに関して詳細な解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
生体系を中心とした、構造空間の探索と反応に関して、電子状態計算や分子動力学シミュレーションを用いた研究を展開しつつある研究成果は内外で評価を受け、多くの国際会議の招待講演などの実績につながっている。
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今後の研究の推進方策 |
生体高分子の構造揺らぎと反応機構の解析のため、(1)青色光受容体の反応機構を調べる。大規模な電子状態計算を遂行し、光誘起電子移動反応のメカニズムを解析する。活性部位の構造安定性を分子シミュレーションの技法を用いて検討する。(2)蛋白質分子内のアミノ酸間相互作用ネットワークを分子シミュレーションの技法により調べる。(3)構造空間の効率的探索により、蛋白質の折り畳み問題や構造変化による機能発現機構を研究する。
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