研究領域 | 直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発 |
研究課題/領域番号 |
22105002
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
茶谷 直人 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30171953)
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キーワード | 炭素-水素結合活性化 / 炭素-酸素結合活性化 / 炭素-窒素結合活性化 / 炭素-フッ素結合活性化 |
研究概要 |
本研究では、結合が強固なため切断が困難な炭素結合の新しい活悸化法の開拓し、有機合成化学反応に資する新しい触媒反応への展開を目的とした。 2-ピリジニルメチルアミノ基を配向基として用いると、ルテニウムを触媒とする脂肪族アミドのSP3炭素-水素結合のカルボニル化が進行することを見出しているが、アミドカルボニル基のα位が2置換の場合、カルボニル化生成物の収率は低かった。今回、立体的かさ高い配向基を用いると、解決することがわかった。さらに2-ピリジニルメチルアミノ基配向基を利用すると芳香アミド類への内部アセチレンの酸化的挿入反応が進行することを見いだし、論文にまとめることができた。また、2座配向基として8-アミノキノリンを用いると、酢酸パラジウムを触媒とする炭素-水素結合のアルキニル化も進行することを見いだした。 ニッケルを触媒とする芳香族フッ素化合物のSuzuki-Miyauraカップリング反応の開発にも成功した。ピリジンやピラゾールなどの窒素配向基がある場合、オルト位の炭素-フッ素結合は容易に有機ボロン酸と反応する。これに対して、配向基のない単純な芳香族フッ素化合物の場合、通常の反応条件では、ほとんど反応しない。しかし、フッ化チタンやフッ化ジルコニウムを添加物として加えるとSuzuki-Miyauraカップリング反応が進行することを見いだした。 さらに、ロジウムを触媒とする炭素-シアノ結合のジボロンを用いたボリル化を反応の開発にも成功した。この反応の官能基許容性も高い。シアノ基は、多くの触媒反応に不活性であるので、本反応は、合成化学的に有用であると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
期待していた以上に2座配向基が、炭素-水素結合活性化に有効であることがわかった。具体的には、以下の予期せぬ反応を発見した。ルテニウムを触媒とする芳香族アミドのオルト位炭素-水素結合のフェニル化、アルキル化反応を見いだすことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今まではピリジンとアミノ基による2座配向基を用いていたが、予期していた以上の成果を得ることができた。この配向基を用いて、さらなる新しい触媒反応の開発を行う。さらに、新しい2座配向基を設計する。
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