研究領域 | 直截的物質変換をめざした分子活性化法の開発 |
研究課題/領域番号 |
22105003
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
中尾 佳亮 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (60346088)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | 協働金属触媒 / 遷移金属 / ルイス酸 / 不活性結合 |
研究概要 |
持続可能社会の実現には,既存の有機合成がもたらす環境負荷を大幅に低減する必要があるが,既知反応の改良には限界があり,全く 新しい概念に基づく新しい有機合成反応の創出が急務である。そのような背景から申請者は,ニッケル触媒とルイス酸触媒を複合的に 利用して,その協働作用によって初めて達成できる不活性結合の新規変換反応をこれまでに多数開発してきた。本研究では,これを発展させ,低原子価遷移金属と高原子価金属(ルイス酸性金属)を複合的に利用し,その協働触媒作用によってC(sp3)-H, C-C, C-N, C-O結合を活性化することによって,有機分子を事前に官能基化することなく環化付加反応や付加反応,閉環反応,カップリング反応を行なう新しいC-C結合形成手法の開発を行なっている。平成24年度に,パラジウムとホウ素の協働触媒によってN-CN結合を活性化し,アルケンを分子内挿入させてβ-アミノニトリルを原子効率よく得るアミノシアノ化反応の開発に成功しているが,平成25年度は,光学活性二座配位子としてPh-SKPを用いることによってこれを不斉化した。本反応は,不斉四置換炭素とC-CN結合を一挙に構築しながら,医薬をはじめとする生理活性物質によく見られる光学活性インドリンやピロリジンを合成できる有用な反応である。また量論反応を行い,パラジウムとホウ素の協働作用によるN-CN結合活性化の反応機構を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請に記載した「不飽和化合物のアミノシアノ化反応の開発」の開発について,不斉合成への展開に成功し,有機合成化学の観点から注目すべき成果を挙げた。また,有機金属化学の観点からきわめて興味深い協働金属触媒によるN-CN結合活性化の反応機構を明らかにした。これらの成果を論文発表することもできた。分子間反応への展開は,現在も検討中であるが,本テーマに関しては,当初の予定以上の成果を得たと考えている。一 方,「メタラサイクル形成を経るC(sp3)-H結合の直接変換反応の開発」について,ニッケル/ルイス酸協働触媒系でいろいろな基質の利用を検討したが,現時点で見通しの明るい成果は得られていない。したがって,総合的には「おおむね順調に進展している」と判断するに至った。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間の最終年度にあたり,予定通り「C(=Y)-X結合(X = C, O, N; Y = O, N)の活性化を経るC-C結合形成反応の開発」に取り組むと同時に,成果を取り纏め,協働金属触媒による不活性結合の活性化に関して,触媒設計指針を提示する。
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