計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
一酸化窒素NOを還元して亜酸化窒素N_2Oに変換する(2NO+2H^++2e^-→N_2O+H_2O)酵素(一酸化窒素還元酵素NOR)の結晶構造解析に成功し、その成果をScienceに報告した。この触媒反応は、N-O結合の開裂とN-N結合の生成を含む化学反応である。本酵素の酵素反応において、反応物NOが大気汚染気体NO_xの一種であり非常に細胞毒性が強いこと、生成物N_2Oが二酸化炭素CO_2の約310倍の温室効果があり、なおかつオゾン層を破壊する気体であることから、環境科学の側面からも注目されている酵素である。触媒反応場は、ヘムbと非ヘム鉄の2つと鉄からなる複核中心であり、非ヘム鉄には、3つのHisイミダゾールと1つのGluカルボン酸が配位子として配位していた。我々は、酵素の反応物NOを混合後に急速(1ミリ秒以内)に凍結し(急速凍結法)、その凍結試料のESRを測定し、その結果を基に、NORの短寿命反応中間体として、2つのNO分子がヘム鉄(Fe2+)と非ヘム鉄(Fe2+)それぞれに配位する構造を提案していた。しかし、結晶構造を見る限りは、触媒反応場には2分子のNOが入り込む空間はなかった。この事から、触媒反応時には、反応場において鉄(おそらく非ヘム鉄の方)の配位空間の構造変化は誘起される作業仮説を立てた。この作業仮説を証明するために、CN-、CO、N_<3->などの外部配位子が結合したNORの結晶化を開始した。結晶は得られたが、分解能が3Å以上であり、さらに高い質の結晶を得るように努力中である。
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