計画研究
今年度は、夏季北太平洋の下層雲と海面熱フラックスの関係について、今まで得られた結果を精査し、より詳細な解析を行なった。MODISの2つの近赤外チャンネルを用いた2種類の雲粒有効半径を解析した結果、カリフォルニア沖の層積雲やヤマセ雲のように、海面から大気へ潜熱、顕熱が供給される条件下では雲粒有効半径は比較的小さく、また、雲粒有効半径の最大が雲頂付近となることが示された。一方、北太平洋中央部で特徴的な、海上気温が海面水温よりも高く、熱フラックスが大気から海面に供給される条件下では、雲粒有効半径が大きく、半径15ミクロン以上のドリズル粒子が多く観測された。また、このときには雲粒有効半径の最大は雲頂付近ではなく、雲内の、より下の層にあることが示された。これらの海域ごとの特徴は大気の大規模な気圧場と海面水温によって特徴付けられている。また、衛星搭載レーダーCloudSatのデータを用いて初夏の黒潮域における雲頂高度の高い雲を黒潮の内と外に分けて解析し、海面水温の雲に及ぼす影響を細かく調べた。その結果、黒潮内においては、黒潮外の領域よりも上昇気流が強いことが確認され、降水も多く見られた。一方、降水粒子を反映するレーダー反射強度の強い高度は上昇流の強い高度よりも低いことが観測され、雲内の力学的状態と雲微物理過程の関係について興味深い結果が得られたと言える。その他、当初の計画には無かったが、温位を用いた寒気質量フラックスsの解析から、冬季寒気の北極域における形成過程とその流出に関する解析がなされ、流出先は地形の影響もあり、北米と東アジアになることが示された。この東アジアに流出する寒気が黒潮域に重なるために地球上でも最も強い海面からの熱放出に繋がっていると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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