研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
22107002
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
垣花 眞人 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (50233664)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ハイブリッド材料 / 機能性高分子 / 融合マテリアル / 自己組織化 / セラミックス |
研究実績の概要 |
平成24年度は、【1】水溶性チタン錯体の特性を活かしたbrookite型酸化チタンの形態制御および機能開拓、【2】水溶性ケイ素化合物の構造解析および開発、【3】水溶性無機クラスターを用いた共同研究による融合マテリアルの創成を実施した。 【1】水溶性チタン錯体水溶液にアミンを添加し水熱処理を行うことで、従来法で得られる粒子とは異なるアスペクト比の小さなbrookite型酸化チタンが生成することを見出した。得られた粒子の誘電特性評価を、領域内研究者との共同研究により実施したところ、本法で合成された形態の制御されたbrookite型酸化チタンが、ナノ100nm以下の粒子としては世界最高レベルの誘電特性を示すことが明らかとなった。 【2】グリコール修飾シランの構造解析を実施したところ、本シランは水溶液中では、Si-O-Si結合から成るクラスターを形成していることが明らかとなった。すなわち水中ではこれらのシランは安定ではないものの、クラスターを形成することで水中に均一に分散することができるといえる。また新しいグリコール修飾シランの開発に着手し、置換基により安定性を制御できる傾向があることを見出した。 【3】領域内研究者との共同研究により、水溶性チタン錯体がアニオンであることを利用し、ポリスチレンビーズ上に高分子カチオンとのポリイオンコンプレックスを作成させることで、結晶構造が多彩に制御された中空酸化チタンが得られることを見出した。すなわち、ナノ(結晶構造)とマクロ(形態)が制御された酸化チタンを合成する手法を開拓できたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではありふれた元素の水溶性クラスターの創成とその集積による材料のナノとマクロの形態制御およびその機能開拓を目指している。これまでに新しい水溶性チタン錯体の開発、水溶性ケイ素化合物の構造解析において一定の進展がみられている。また、開発した水溶性化合物を用いた結晶構造と形態が制御された酸化チタンの合成や機能性材料の高機能化にも成功している。加えて、領域内研究者との共同研究においても論文が出版され始めていることから、本年度までの本研究課題の達成度は「おおむね順調に進展している」と評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
水溶性無機クラスターの開発やそれらの集積化技術を駆使した材料合成および機能開拓、領域内共同研究による融合マテリアルの創成に関しては一定の成果が得られている。したがってこれらの点についてはこれまでと同様に注力することにする。一方で得られた水溶性無機クラスターの構造解析、作製した融合マテリアル・無機マテリアルの機能開拓や構造解析は十分であるとはいえないことから、構造解析にも目を向ける。加えて、鉄やリンなどこれまでに注力していないありふれた元素も扱うことにする。
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