計画研究
本研究は、バイオミネラルの形成プロセスにみられる「分子制御」による融合マテリアル創製のための基礎技術の確立および高機能性の付与を目指している。平成24年度は、これまでの成果を踏まえ、マンガンを用いる新規融合マテリアルの構造制御と、融合材料を機能化する刺激応答性液晶材料について研究した。機能性融合マテリアルの開発のため、キャパシタなどに利用される水酸化マンガンおよびその前駆体の酸化水酸化マンガンを作製した。バイオミネラリゼーションに学ぶ温和な結晶成長手法を用いて複合体が得られる事が明らかになった。また、帯状モルホロジーを持つ酸化水酸化マンガンが基板一様に得られ、さらにその構造を保持したまま水酸化マンガンに転移させることに成功した。一方、機能性制御分子の開発のため、刺激応答性発光液晶を設計・合成し、その発光特性と機械的刺激に対する応答性について調べた。中央にアントラセンを有し、側鎖にメソゲンを持つ分子を合成したところ、室温を含む広い範囲において、スメクチック相を示すことがわかった。この液晶に機械的刺激を印加したところ、相転移を示した。それに伴い分子中央に位置するアントラセン(発光部位)同士の相対距離の変化により、エキサイマー形成に基づく発光強度がかわり、発光色が変化した。集合構造を分子レベルで設計し、それを制御した本研究の結果は、機能性制御分子の開発につながる。
2: おおむね順調に進展している
バイオミネラルの形成にならい、結晶成長の自己組織化を制御する技術の開発、および刺激応答性化合物の開発はおおむね順調に進んでおり、共同研究も活発に行なわれている。
本領域に参加している研究代表者との密接な議論を重ねながら共同研究をさらに推進し、融合マテリアルの構造制御・高機能化のための刺激応答性を有する新しい有機分子・高分子を設計・合成する。計算機科学的手法も利用しながら、これまでに主に対象としてきた多様な結晶の構造を「分子制御」する技術の確立と一般化を進め、同時に機能性部位を有する制御分子の開発を進めることで、融合マテリアルのさらなる高機能化を進める。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (60件) (うち招待講演 20件) 図書 (3件) 備考 (2件)
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