研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
22107004
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
灘 浩樹 独立行政法人産業技術総合研究所, 環境管理技術研究部門, 主任研究員 (90357682)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | 融合マテリアル / ハイブリッド材料 / 機能性高分子 / 結晶成長 / 計算物理 |
研究概要 |
平成25年度は、主にバイオミネラリゼーションにおいて代表的な炭酸カルシウム結晶に対して結晶核生成の不純物添加による制御機構と有機分子による結晶成長制御機構に関するシミュレーション研究を重点的に実施した。研究成果の概要は、以下の通りである。 炭酸カルシウム結晶核生成の前駆体として出現するアモルファス凝集体構造のマグネシウム濃度依存性を分子動力学シミュレーション解析により定性的に明らかにし、マグネシウム添加による結晶核生成への影響を考察した。本研究において、アモルファス中の局所的結晶類似構造、特にバテライト類似構造がマグネシウム添加により消失することが判った。アモルファス‐結晶構造転移の分子動力学シミュレーションを純粋アモルファスとマグネシウムを含むアモルファスのそれぞれに対して実施し、マグネシウムが特にバテライト構造転移を強く抑制することが確かめられた。本研究により、新学術領域研究内で行われている炭酸カルシウム結晶形成制御の実験結果に理論的解釈が与えられた。 炭酸カルシウムの結晶成長を制御する有機分子はカルボキシル基を含むものが多い。そこで、カルボキシル基を含み且つシンプルな構造を持つアスパラギン酸をモデル制御分子として用い、カルサイト結晶成長制御機構を分子レベルで理解することを目的とした分子動力学シミュレーションを昨年度に引き続いて実施した。本年度は特に、カルサイト(104)面上の成長時に出現するステップおよびキンク周辺におけるアスパラギン酸挙動を重点的に解析した。本研究の結果、平坦なステップエッジの場合、二種類のステップ、鋭角ステップと鈍角ステップ、のうち鋭角ステップのエッジに選択的に吸着することがわかった。また、ステップエッジにキンクが存在する場合、どちらのステップに対してもカルシウムイオン終端キンクには極めて強く吸着することがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は当初の研究計画に従って順調に進んでおり、新学術領域内での共同研究論文などによる成果発表も順調に進んでいる。したがって、本研究はおおむね順調に進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後も当初の研究計画通りに進めていく。本研究課題の推進のために、新学術領域内での共同研究を今後も継続して実施していき、成果発信や研究ディスカッションの機会を増やしていく計画である。
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