計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究は、骨や歯が作る巧みな無機/有機融合構造を規範にして、有機高分子のテンプレートに水酸アパタイト(ヒドロキシアパタイト;HAp)や炭酸カルシウム、酸化鉄、チタニアなどの無機結晶を階層的に複合化するプロセスの確立を目指している。本年度においては、生成する無機結晶としてリン酸カルシウムを対象とした。バイオミネラルの形成には有機分子が深く関与している。そこで、リン酸カルシウムの結晶生成において、ポリグルタミン酸などの有機高分子、アミノ酸やそのモデル分子が及ぼす影響を調べた。リン酸カルシウム結晶の生成過程については、過飽和溶液中から析出する場合と、準安定相から安定相へと相転移する場合を調べた。体液組成に類似した水溶液(擬似体液;SBF)に、ポリグルタミン酸やポリアクリル酸を添加した場合、それらの濃度に依存して、リン酸カルシウムの析出の促進や制御が可能になることが明らかになった。また、α型リン酸三カルシウム(α-TCP)からのHApやリン酸八カルシウム(OCP)への転化において、水溶液中に共存する有機酸の濃度により、促進や抑制が生じることも明らかになった。さらに、無機イオン濃度の制御とともに、ゲル状の有機高分子のマトリックスを利用したテンプレート効果を利用して、類似の組成のリン酸カルシウム化合物を種々の異なる形態で合成できることも見出した。一方、骨格となる無機固体として炭酸含有アパタイトの合成にも取り組み、その結果、水熱合成法を用いて炭酸含有量が1 mass%のロッド状ヒドロキシアパタイトが生成する条件が明らかになった。
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http://kenpro.mynu.jp:8001/Profiles/0052/0005218/profile.html