研究領域 | 融合マテリアル:分子制御による材料創成と機能開拓 |
研究課題/領域番号 |
22107008
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
菊池 裕嗣 九州大学, 先導物質化学研究所, 教授 (50186201)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | 液晶 / 有機組織体 / ミネラリゼーション / フラストレーション / 融合マテリアル |
研究概要 |
本研究の主たる目的は、無機、金属、固体高分子などのハードで静態的な物質に、生体組織、液晶などのソフトで動態的な物質に特徴的に見られる高度に階層化した秩序構造を与えた新規な融合マテリアルを創製すること、および、その融合マテリアルが常温かつ温和な環境で創製できることを実証することにある。本研究では、自然調和型構造材料、すなわち1)配向欠陥のネットワークに異種物質を位置選択的に配列させた新規なナノ構造化融合マテリアル、および、2)秩序領域で無機物質等をテンプレート合成させた高秩序・高階層融合マテリアルを創製することを目的とする。 平成25年度は、前年度に引き続き①無機物質と液晶との融合を目指し、サーモトロピック液晶中での無機結晶の成長を行った。サーモトロピック液晶は疎水性であるため、親水性の無機イオンを取り込むためクラウンエーテル誘導体を新規に合成し、イオンキャリアーとして用いた。ネマチック液晶中で炭酸カルシウムの結晶化を行ったところ、異方性のある結晶形態の形成が確認された。特に親水性基板と液晶との界面で異方性のある繊維状の炭酸カルシウム結晶が観察され、水の存在の重要性が明らかとなった。②水を溶媒とするリオトロピック液晶のキラル化を検討し、両親媒性物質、長鎖アルコール、キラル剤、水の適切な混合条件でリオトロピックキラル液晶が発現することが明らかとなった。ラメラ相で炭酸カルシウムの結晶化を行ったところ、積層構造を有する結晶が観察され、ラメラ相の秩序が結晶化に反映されていることが示唆された。③枝分かれ構造を有するデンドロン分子を合成し、キラル液晶との融合を検討したところ、ブルー相の温度範囲の拡大と電場によって誘起されるブラッグ回折波長のシフト寮の拡大が確認でき、チューナブルフォトニック液晶としてのポテンシャルが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標としている有機分子高度組織体と無機結晶や高分子などの異種物質を分子配向場における相互作用を利用してハブリッド化し、新たな融合マテリアルの創製に向けた研究成果が得られている。液晶の秩序構造を影響を著しく受けたと思われる炭酸カルシウム結晶の形成に成功している。
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今後の研究の推進方策 |
今後も、予定通り研究を推進する。特に問題は生じていない。
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