計画研究
ソフトで動的な秩序構造を有している液晶は、三次元の階層的組織構造を常温かつ温和な条件で形成する。本研究の主たる目的は、無機、金属、固体高分子などのハードで静態的な物質に、生体組織、液晶などのソフトで動態的な物質に特徴的に見られる高度に階層化した秩序構造を与えた新規な融合マテリアルを創製すること、および、その融合マテリアルが常温かつ温和な環境で創製できることを実証することにある。H26年度は、自己組織的な結晶成長を制御する場としてサーモトロピック液晶相、Ca2+イオン輸送体としてクラウンエーテル誘導体を用いてミネラリゼーションの手法を確立し、液晶相の配向秩序をテンプレートとして成長した炭酸カルシウム構造体の形成を行った。温度変化と液晶相の違いによる炭酸カルシウム結晶の形態の変化を比較検証した結果、液晶相の配向秩序の影響をより受けていることが明らかとなった。得られた繊維状結晶はラマン分光法により炭酸カルシウムのバテライト構造であると同定された。リオトロピック液晶をミネラリゼーションの反応場として用い、各液晶相の配向秩序や階層構造が転写された、炭酸カルシウムの構造体の析出を行った。リオトロピックヘキサゴナル相でミネラリゼーションを行った結果、六角形プレート状の炭酸カルシウム結晶が得られた。顕微ラマン分光測定により、析出した結晶は炭酸カルシウムのカルサイト構造であることが確認された。リオトロピック液晶の溶媒として無機イオン濃度をヒトの血漿とほぼ等しくした水溶液である疑似体液を用い、各液晶相の配向秩序や階層構造が転写された、リン酸塩の構造体の析出を行った。リオトロピックラメラ相でミネラリゼーションを行った結果、六角錐状の結晶が見出された。析出した六角錐状の結晶の側面は一部層構造を形成していた。この構造はラメラ相の積層構造を反映していると考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 2件)
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