研究領域 | 生合成マシナリー:生物活性物質構造多様性創出システムの解明と制御 |
研究課題/領域番号 |
22108003
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
江口 正 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (60201365)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 生合成 / 抗生物質 / 二次代謝物 / 生合成酵素 / 遺伝子クラスター |
研究実績の概要 |
本研究では、特徴ある化学構造と有用な生理活性を持つ微生物が産生する二次代謝産物に焦点を絞り、それらの生合成系を遺伝子・酵素レベルで精密に解析することを目的とし、放線菌の生産するポリケチドマクロラクタム抗生物質インセドニンの生合成遺伝子の機能解析を行った。インセドニンはStreptomyces sp. ML694-90F3から単離された抗腫瘍性24員環マクロラクタム配糖体抗生物質である。インセドニンのアグリコンは、特徴的なアミノ酸とポリケチド鎖が連結して構築すると考えられた。そこで先ず安定同位体標識した化合物の取り込み実験により、インセドニンのスターター生合成に関してはL-グルタミン酸からアミノ基転位反応により生成したβ-グルタミン酸を中間体とする、新規の生合成経路により構築された3-アミノ酪酸が前駆体になることが分かった。また、スターターを含めた詳細なインセドニン生合成機構を調べるために、生合成遺伝子を解析した。その結果、約138 kbpに渡る81個の読み枠(ORF)から成るインセドニン生合成遺伝子クラスターを決定した。さらに、スターターを含めた詳細なインセドニン生合成機構を調べるために本クラスター中の生合成遺伝子の機能解析を行った。その結果3-アミノ酪酸を特異的に認識・活性化してアシルキャリアータンパク質へと転移させる酵素IdnLM1と末端のアミノ基を保護するIdnLM7の酵素活性を見出した。これらは同様のマクロラクタム配糖体であるビセニスタチンと共通のスターター構築機構であることが分かり、生合成工学的手法により新たな分子創製も可能になると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定であるマクロラクタム抗生物質の機能解析については、順調に進んでいる。また、新たな研究対象としているマクロラクタム配糖体抗生物質であるクレミマイシンの生合成遺伝子クラスターは既に取得し、現在解析を進めており、ほぼ予定通りに研究計画が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、アミノ配糖体抗生物質の生合成遺伝子の機能解析をさらに進めて、それらの基質特異性の解明へと進めていく予定である。マクロラクタム配糖体抗生物質に関しては、インセドニンおよびクレミマイシンに続き、ヒタチマイシン、SCH38518の生合成遺伝子クラスターの取得を行い、それらの機能解析を進めていく。また、アミノ配糖体抗生物質カナマイシン、トブラマイシン、ゲンタミシンの生合成遺伝子については、遺伝子クラスターが取得されているので、その情報を用いて糖転移酵素および糖修飾酵素を大腸菌あるいは放線菌にて発現し、その機能を解明する。
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