計画研究
選択マーカーリサイクリングシステム用いることにより、麹菌染色体上に存在する3種類のα-グルカン合成酵素遺伝子をいろいろな組み合わせで容易に破壊することができた。得られた破壊株は寒天培地上では野生株とほとんど差のない生育状態を示したが、液体培養時に野生株とagsA、agsC遺伝子破壊株がペレット状になるのに対して、agsB遺伝子破壊株ではパルプ状または非常に小さなペレット状の形態を示した。細胞壁のα-グルカン量の測定を行ったところ、agsB破壊株ではほとんど細胞壁にα-グルカンが含まれていないことが明らかとなった。また、麹菌が分泌生産するα-アミラーゼはagsB破壊株では培養初期から細胞壁に吸着されることから、アミラーゼなどのタンパク質の細胞壁吸着を阻害する因子がα-グルカンである可能性が示唆された。一方、麹菌の生産する二次代謝化合物であるコウジ酸は、agsB破壊株ではほとんどの生産されなかった。しかし、コウジ酸生合成に関わるkojAを高発現させると、agsB破壊株では野生株よりも高い生産性を示し、agsB破壊株の有用物質高生産用の宿主としての有用性が示された。一方、高発現カセットをタンデムに2個搭載したベクターをそれぞれargBとsCを選択マーカーとして2種類作製し、これらのベクターに生合成酵素遺伝子を挿入して麹菌にco-transformationで複数個導入するシステムを構築した。このシステムを利用して、麹菌においてアフラトレムとベタエノンの生合成に成功した。また、同様に麹菌を宿主として各種発現ベクターを利用して多数の生合成酵素遺伝子を導入することにより、ペニトレムの全生合成経路の反応ステップを解明することができた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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