計画研究
本計画研究の3つの課題に対し以下の研究成果を得た。1)「マイクロ波メタマテリアル構造の開発と特性評価」 CRLH媒質理論を基に、新たな2次元・3次元左手系媒質構造の提案およびそれらの負屈折率特性の実証、回折限界を超える分解能を持つレンズの実現をマイクロ波帯において成功した。同時に、分散性媒質および損失媒質を含む周期構造に対する分散特性およびインピーダンスを系統的に求めるための数値シミュレーション技術の開発、マイクロ波・ミリ波帯における実効誘電率および実効透磁率の測定システムを構築した。2) 「デバイス応用化研究」 低温同時焼成セラミック(LTCC)技術を用いた積層型CRLH伝送線路などを用いた新たなマイクロ波帯超小型フォーワード結合器、Wilkinson電力分配器、ノッチ特性つきUWBフィルタ、広帯域インピーダンス整合器等の大幅な小型化と多周波動作・広帯域化などの高性能化に成功した。また、磁性体を用いた非相反メタマテリアル媒質を利用した新たな進行波型共振器、進行波共振器アンテナ、偏波制御可能な零次共振器アンテナの開発に成功した。3)「テラヘルツ波・光波領域への概念の展開」 半導体プロセスを用いてCRLH媒質をスケールダウンすることでテラヘルツ波における負屈折率媒質を設計した。本媒質の放射ビーム走査動作を数値的に確認した。平面型CRLH媒質をスケールダウンしたテラヘルツ波CRLH媒質を試作した。本媒質の反射特性を測定しΓ点周波数である1.0 THz付近において同相反射特性を実験的に確認した。
1: 当初の計画以上に進展している
1)「マイクロ波メタマテリアル構造の開発と特性評価」 新たな構造提案や不屈折率レンズの回折限界を超える分解能などの特異現象を実験的に示すことに成功し、当初の目標をほぼ達成した。2) 「デバイス応用化研究」 マイクロ波帯における実用デバイスに迫る小型化や高性能特性を実現し、当初の目標をほぼ達成した。さらに全く新たなマイクロ波帯非可逆デバイスやミリ波帯アンテナを提案した。3)「テラヘルツ波・光波領域への概念の展開」でも、半導体プロセスを用いたCRLH媒質の設計・試作が進んでおり、マイクロ波帯の設計手法による新機能テラヘルツデバイスの具体化が進んでいる。
研究遂行上に生じた問題点は特になく、研究は順調である。引き続き研究会合等での情報共有をすすめ、本研究課題である1) 新規メタマテリアル構造の開発、2) デバイス応用化研究、および3) テラヘルツ波・光波領域への概念の展開、に関して以降の計画に従い研究を遂行していく。
すべて 2013 2012 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (42件) (うち招待講演 5件) 図書 (3件) 備考 (1件) 産業財産権 (3件) (うち外国 2件)
The Journal of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
巻: 96 ページ: 46-51
IEICE Transactions on Electronics
巻: E95-C ページ: 1652-1657
巻: E95-C ページ: 1643-1651
巻: E95-C ページ: 1658-1661
IEEE Trans. on Microwave Theory and Techniques
巻: 60 ページ: 3043-3054
IEEE Microwave Wireless Compon. Lett.
巻: 22 ページ: 1-3
電気学会論文誌C(電子・情報・ システム部門誌)
巻: 132 ページ: 1310-1316
IEEE Antennas Wireless Propag. Lett.
巻: 11 ページ: 41-44
Optical Express, Optical Society of America
巻: 20 ページ: 18238-18247
IEICE Electronics Express
巻: 9 ページ: 951-957
www-ap.apsci.yamaguchi-u.ac.jp