研究領域 | 電磁メタマテリアル |
研究課題/領域番号 |
22109003
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
萩行 正憲 大阪大学, レーザーエネルギー学研究センタ, 教授 (10144429)
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研究分担者 |
宮嵜 博司 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00134007)
宮丸 文章 信州大学, 理学部, 准教授 (20419005)
永井 正也 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (30343239)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | メタマテリアル / テラヘルツ / 負の屈折率 / 非線形光学効果 / 表面波 / フラクタル |
研究概要 |
TiO2微小球と金属メッシュの組み合わせにより、2次元の負の屈折率メタマテリアルを作製し、テラヘルツ時間領域分光法により透過スペクトルを測定した。TiO2球の密度の増大に伴い予想される周波数に透過のピークが現れることから、負の屈折率が実現されたことがわかった。また、金属メッシュにカットを導入することによる、金属-絶縁体転移を調べた。少数のカットの導入により、まず、有効誘電率に分割リング共振器に特徴的なローレンツ型共振が現れ、ついで、カットの増大に伴い周波数依存性の少ないフラクタル特有の有効誘電率となり、さらなる増大により絶縁体的な有効誘電率となることが判明した。類似の現象は、接合部を制御した場合の金属チェッカーボードパターンでも見られた(フランス、リール大との共同研究)。 アクティブメタマテリアルについては、GaAs基板上に作製された平面メタマテリアルを用いて、光パルス照射によるテラヘルツパルスの超高速群遅延制御に成功した(計画研究ウ、北野グループとの共同研究)。シリコン/銅フタロシアニン界面上に作製された分割共振器配列メタマテリアルにより、テラヘルツ波透過の高効率光変調が可能であることを示した(公募研究、松井グループとの共同研究)。 カイラルメタマテリアル表面上に、表面波が存在するためのパラメータ範囲を明らかにした(ロシア、ニジニ・ノブゴロド大との共同研究)。 金属微粒子系において、高強度テラヘルツ波照射による電気抵抗のスイッチング現象を見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
TiO2を用いたメタマテリアル、金属メッシュ系における金属-絶縁体転移、金属微粒子系における非線形効果、平面メタマテリアルにおけるテラヘルツ波の超高速群遅延制御と高効率透過率変調などのユニークな研究が進展している。中間評価で指摘された海外のグループとの共同研究の増強も、当初からのロシアに加えて、フランス、米国とも進めており、成果も得られている。国内のグループとは、本新学術領域メンバーに加えて、MEMS、自由電子レーザー、カーボンナノチューブなどの研究グループとの連携を進め、論文化などの実績が上がっている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に向けて、メタルメッシュ系、チェッカーボード系、誘電体球(TiO2)系メタマテリアルなどについて、作製法を工夫するとともに、2次元および表面波の特徴について明らかにする。GaAsおよびシリコン/銅フタロシアニン界面を用いた光照射によるアクティブメタマテリアルの高度化を図る。これらの研究により、将来のテラヘルツ技術に資するメタマテリアル開発の基礎を築く。 また、MEMS、ナノマテリアル、プラズモニクス、の研究者との共同研究を通して、本新学術領域が終了後も、メタマテリアル研究が発展する道筋をつける。
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