研究領域 | 電磁メタマテリアル |
研究課題/領域番号 |
22109004
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
北野 正雄 京都大学, 工学研究科, 教授 (70115830)
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研究分担者 |
酒井 道 京都大学, 工学研究科, 准教授 (30362445)
久門 尚史 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80301240)
中西 俊博 京都大学, 工学研究科, 助教 (30362461)
出口 博之 同志社大学, 理工学部, 教授 (80329953)
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キーワード | メタマテリアル / 群速度制御 / 第2次高調波発生 / プラズマ / 最適化設計 / 任意形状素子 / 単導体線路 |
研究概要 |
平成23年度は主に以下の5つのテーマに関して研究を行った。 (1)電磁波の入射角度に対して群速度が変化するメタマテリアルについて研究を行った。自由伝搬での透過測定において、期待するような狭帯域透明化現象が観測され、その透明化幅が電磁波の入射角度で変化することが分かった。また、パルスの伝搬時間測定を時間領域で行い、入射角度によって群速度が変調されていることを実証した。 (2)2重リング共振構造に非対称に非線形容量ダイオードを導入したメタマテリアルを用いて高効率に第2次高調波を発生させる方法について研究を行った。単一共振構造のメタマテリアルと比べて約100倍の第2次高調波発生を実現することができた。 (3)共振器アレイ構造に、大電力のマイクロ波が伝搬する様子を理論・実験の両面で検討し、負屈折率領域のなだれ状の動的生成(高密度プラズマ生成)現象を実現した。このとき、理論検討よりプラズマの誘電率が非線形応答を示すことを予測し、実験結果において負の誘電率状態しか観測されない事実により理論予測が裏付けられた。 (4)遺伝的アルゴリズムを用いて設計した位相定数制御のためのメタマテリアル平面回路線路、ならびに反射位相制御のためのメタマテリアル・サーフェースの試作評価によって、提案する方法の妥当性の検証、ならびに特性向上に重要な単位セル間の相互結合の影響について検討を加えた。 (5)単導体素子により表現される電磁界の妥当性を示すため、線状アンテナの電磁界解析を行い、単導体素子の電磁界が近傍・遠方界ともに妥当性を持つことを確認した。また、分岐単導体のモデル化を行い、分岐点における反射係数が導出できることを示した。さらに、導体球と導体線による構造を集中定数回路でモデル化し、振動モードの検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した内容を遂行し、予測していた結果をおおむね得ることができている。群速度制御の研究では、静的な群速度制御から研究を発展させ、外部パラメータで群速度を制御するメタマテリアルを実現することに成功した。そして、任意形状素子で構成されるマイクロ波回路素子ならびに放射素子のGAによる設計を行い、数値的・実験的評価によって良好な左手系媒質の特性が得られることを確認した。単導体線路モデルの研究においては、単導体素子の妥当性を検証し、導体球と導体線の構造における振動モードを明確化できた。
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今後の研究の推進方策 |
メタマテリアルを用いて群速度を時間的に変化させる方法について検討を行う。また、メタマテリアル・サーフェースの地導体板を取り除いた構造によって透過波の制御を行うものを検討するとともに、多層構造メタマテリアル媒質について設計を行う予定である。メタマテリアルの解析方法としては、単導体素子のより簡潔なモデルとして回路モデルを検討するとともに、メタマテリアルの外部との結合について検討を行う。
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