研究領域 | 電磁メタマテリアル |
研究課題/領域番号 |
22109007
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
迫田 和彰 独立行政法人物質・材料研究機構, 先端フォトニクス材料ユニット, ユニット長 (90250513)
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研究分担者 |
田丸 博晴 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 講師 (30292767)
岡本 敏弘 徳島大学, ソシオテクノサイエンス研究部, 助教 (60274263)
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研究期間 (年度) |
2010-06-23 – 2015-03-31
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キーワード | メタマテリアル / プラズモン / 共振器 / メタ表面 / 磁気双極子遷移 / ディラックコーン / 近赤外分光 |
研究概要 |
(1) 光波領域のメタ表面創製技術の開発:ナノインプリント法によるメタ表面作製を集中的に実施して,平方センチメートル級の大面積試料でナノメートル精度の高品質なメタ表面の作製に成功した。世界的に見ても高い技術水準にあり,今後,他班にも試料提供することを通じて様々な共同研究の展開が期待できる。 (2) メタ表面解析技術の開発と試料設計:昨年度までに,k・p摂動法と群論を組合せた縮退摂動論を開発して,メタマテリアルとフォトニック結晶におけるディラックコーンの生成条件を完全に解明した。また,2次元スラブ型メタマテリアルのディラック点では,電磁波の進行方向が入射光の偏光で制御できることを見出した。今年度はこれをさらに発展させて,外部光による励起過程をグリーン関数法で定式化することにより,ディラックコーンと外部光の結合強度と選択則,および,スラブ内での伝搬特性を解明した。さらに,この手法を周期変調された2次元量子井戸の電子準位の解析に拡張し,伝導電子のサブバンドにディラックコーンが形成できることを見出した。これにより,極端に小さな有効質量や大きな易動度などの特異な物性の実現が期待される。 (3) 磁気双極子遷移の増強効果:Er3+イオンをスパッタリングにより埋め込んだMIM共振器について,電磁場解析によるモード体積の評価と,反射スペクトルから求めた共振器のQ値を用いてパーセル因子の理論解析を実施し,観測値とほぼ一致する解析結果が得られた。 (4) 熱放射赤外光源の開発:MIM共振器によるメタ表面構造を利用して,ガス濃度計測用の熱放射型2波長赤外光源の開発を進めた。ガス濃度計測に必要な2波長でのみ完全黒体に近い放射が実現できた。加熱による材料の拡散が課題であったが,適切なバリア層の挿入により解決の見通しを得た。実装素子の作製と高効率計測の実証の準備を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初に計画した研究項目がすべて順調に進展したことに加えて,ナノインプリントリソグラフィによる大面積・高品質試料の開発や,ディラックコーンの生成条件の解明,熱放射型赤外光源の実装素子の作製等,当初計画を超える多くの研究成果が得られた。
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今後の研究の推進方策 |
研究は順調に進展しており,当初計画の変更の必要は無い。他方,当初計画には無かったディラックコーンの試料設計と検証実験,熱放射型赤外光源の実装素子を使ったガス濃度計測の実証試験,および,ナノインプリントリソグラフィによる他班への試料提供を実施する予定である。
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