計画研究
新学術領域研究(研究領域提案型)
本研究は、アルツハイマー病(AD)を「シナプス異常症」と捉える視点から、ADにおける神経障害のメカニズムとして、Aβペプチドの産生・蓄積とシナプス異常・脱落との関連を実証することを目的とする。近年提唱されているシナプス活動依存的なAβ産生をin vivoの系で実証するため、ADの主要病変部位である海馬への主要な入力線維(貫通線維:perforant pathway)の起始部位であるentorhinal cortex(EC)の大型神経細胞に、光刺激により神経活動を制御可能なchannelrhodopsin2(ChR2)分子を、アデノ随伴ウイルスシステム(AAV)を用いて導入する。その後、レーザー光による光刺激プローブをECに導入し、EC細胞の持続的・定期的な興奮を惹起することにより、投射先の海馬シナプスにおけるAβ産生・分泌を直接的に評価する。今年度は、ChR2分子のin vivo発現系の構築のため、ChR2分子とEYFP分子の融合タンパク質に光刺激でより持続的にチャネル活性を維持することが報告されている改変を加えたstep function opsin(SFO)を用い、神経細胞発現のためのCamK IIaおよびsynapsin Iプロモーター、および全細胞種に強く発現するCAGプロモーターの下流に繋いだAAV発現用のベクターを構築、バキュロウイルスシステムを利用したAAV大量精製を実行した。また、当グループで樹立したADモデルマウスであるA7マウスの脳において、EC-海馬の投射経路のうち、最もAβ分泌・蓄積が顕著な脳部位を、免疫組織化学的にlateral EC-innner molecular layerと同定し、Aβ分泌を評価するためのマイクロダイアリシスプローブを介した測定のための座標軸の設定、および測定系の立ち上げと、予備的検討を完了した。
すべて 2010
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)
Journal of Neuroscience
巻: 30 ページ: 11157-11166
巻: 30 ページ: 15943-15950