計画研究
神経疾患研究における重要な課題は病変の細胞特異性である。ネットワークを形成する神経系においてどの細胞がどのように障害されるのかは発症要因と関連し、また症状を決定する。この神経疾患における重要課題へアプローチするため、今年度は1)部位特異的プロモーターを用いて蛍光タンパク質を発現したトランスジェニックマウスから蛍光発現細胞をセルソーター(FACS)によって単離し、その細胞特異性を解析する方法を確立し、ニューロサーキット病態解析法を確立する。2)また線条体に特異的な発現パターンを示すsodium channel beta subunit4の特異抗体を作成することにより、線条体有棘神経細胞の病態解析法を確立する、ことを目指した。1)FACS-array の結果をin situ, qRT-PCR によって検証:これまでの結果では線条体における遺伝子変化とFACS-Array によって同定された遺伝子変化はかなり異なっている。このことはFACSによってenrich された神経細胞の変化を見ている可能性が強いが、この変化をqRT-PCR等で一部の遺伝子について確認した。また既報の遺伝子との比較検討を行い、FACS-arrayによって線条体の遺伝子発現に比較して、有棘神経細胞の遺伝子変化を特異的に同定できていると考えられた。2)sodium channel beta4(Scn4b) subunit, Scn4b KO マウスの解析:当研究室は線条体の投射線維が無髄であることを確認し、その機能異常がKOマウスでどのような面で現れているかを明らかにし、線条体ニューロンの特異性を明らかにすることを目指した。KOマウスは微妙な振戦を呈し、突然死を起こした。またbeta4 に対する異なるドメインの抗体を作製し、細胞外ドメインに対する抗体によっても、線条体投射線維が染色されることが確認された。
2: おおむね順調に進展している
研究室の移動などがあったが、年度後半に集中的に実験を行い、おおむね予定した結果は得られた。
今年度の研究の成果をまとめるとともに、病変特異性を決める因子を同定するため、NF-YAノックアウトマウスの解析や、FUS/TLSノックアウトマウスの解析も行う。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件)
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