計画研究
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)モデルマウスであるAR-97Qマウスでは、脊髄・骨格筋の双方において、ミトコンドリアの機能維持に必要なperoxisome proliferator-activated receptor-gamma(PPARgamma)の発現が低下しており、培養細胞を用いた検討によりニューロン・骨格筋におけるミトコンドリア機能異常が示唆された。そこで、PPARgammaアゴニストであるpioglitazone(PG)を発症前(6週齢)から経口投与したところ、AR-97Qマウスの病態進行は、体重、rotarod、握力、生存率の全てのパラメーターにおいてPG投与により有意に改善した。病理学的には、脊髄と骨格筋における変異ARの核内集積は治療前後で変化がなかったものの、運動ニューロンと骨格筋の萎縮改善、アストログリア増生の抑制を認めた。さらにウエスタンブロット・免疫組織化学等の手法を用いて解析したところ、SBMAモデルマウスでは野生型マウスと比較して、ミトコンドリア機能低下に加え、酸化ストレスの上昇、運動ニューロンや骨格筋におけるNFkBシグナルの活性化、グリア細胞機能の変化がみとめられたが、これらの分子変化はPG投与により改善した。本研究により、SBMAマウスモデルの脊髄と骨格筋のいずれにおいてもNFkBシグナルの活性化などの変化が早期から認められたことから、本疾患では運動ニューロン・骨格筋システムが、共通した分子メカニズムで変性に陥っていることが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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