計画研究
脳深部シナプス回路の活動を可視化する為、カルシウムセンサー蛋白質であるGCaMPをThy-1プロモーター下流で発現するトランスジェニックマウスを作成した。この動物では、海馬CA1領域錐体細胞にてGCaMPが発現していた。スライスを作成し、全細胞記録をしつつ、脱分極させて活動電位を発生させた所、およそ、5-10個以上の活動電位で、有為な蛍光量の変化が認められた。このトランスジェニックマウスの海馬から二光子顕微鏡記録を行なう為、背側海馬上部の大脳皮質(頭頂葉の一部)に約2mmの穴をあけ、底にカバーガラスを貼った、金属製の筒を挿入した。それを頭蓋骨に埋め込んだ、金属板に固定した。金属板をさらに、金属柱にネジ止めする事により、二光子顕微鏡対物レンズ下に頭部を固定した。一方、マウスの体は、空気圧で浮かせた発泡スチロール球上におき、その上を自由に歩くことが出来る様にした。そして、周囲のスクリーンに仮想現実を投影した。現在のところ、麻酔下の動物で自発活動電位をカルシウム反応として記録出来る事が確認出来た。確認出来る領域は、500μm×500μmの領域であり、約500個のニューロンが含まれていた。これを解析した所、同時発火するニューロン群が認められた。今後、画像解析により自動的に発火しているニューロンを検出するプログラムを開発していく他、無麻酔下、空間学習を行ないつつある動物で、海馬ニューロンの活動を解析していく。
2: おおむね順調に進展している
当初は樹状突起スパインを観察する予定であったが、カルシウム反応が思いのほか良いので、そちらに集中することにした。脳深部を観察する技術などは当初のマイクロレンズではなく、長作動対物レンズを用いる方が、視野が広いことが判明したのでそちらを主に用いている。
今後、画像解析により自動的に発火しているニューロンを検出するプログラムを開発していく他、無麻酔下、空間学習を行ないつつある動物で、海馬ニューロンの活動を解析していく。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (8件) 備考 (1件)
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