研究領域 | 動く細胞と場のクロストークによる秩序の生成 |
研究課題/領域番号 |
22111005
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
西脇 清二 関西学院大学, 理工学部, 教授 (30342827)
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キーワード | 線虫 / ADAMTS family / MIG-17 / GON-1 / 基底膜 / アクチン線維 / 微小管 |
研究概要 |
1。生殖巣リーダー細胞DTCの細胞骨格の詳細な挙動解析: EGFP-tba-2(α-tubulin)を作成し、DTCで発現させることにより、微小管の可視化に成功した。また、GFP-ebp-2(EB1)(微小管+端結合タンパク質)を用いて標識することにより、DTC内での微小管+端の挙動をタイムラプスムービーで撮影を行った。微小管はDTCの後方から先導端に向かって常に極性成長を行っていることが分かった。vab-10(spectraplakin)の変異体では微小管の極性成長が著しく阻害されており、このために核の移動が起こらないと考えられる。さらにkinesinのRNAiでも核の移動が阻害されることが分かった。DTCの核は、VAB-10により極性成長を行う微小管の+端に向かってキネシン依存的に運ばれることで、先導端に維持されていると考えられる。 2.基底膜の制御に関わるADAMTSプロテァーゼGON-1の解析: gon-1変異体は生殖巣形成不全のため不妊となる。gon-1変異体の不稔性を抑圧するサプレッサー変異tk109は劣性であり、遺伝的マッピングの結果、IV番染色体のgon-1遺伝子の近傍に存在することが分かった。この領域にはその欠失変異が部分的にgon-1をサプレスすることが知られているfbl-1遺伝子(基底膜分子5bulinをコードする)が存在する。そこでtk109変異体においてfbl-1遺伝子の塩基配列を調べたところ、2つ目のEFG-like motif内にアミノ酸置換があることが分かった。tk109はgon-1の強いサプレッサーであり、このmotifの機能に興味が持たれる。また抗IV型collagen抗体を用いた組織染色から、gon-1変異体では基底膜VI型collagenが減少していることも突き止めた。IV型collagenがGON-1の基質である可能性も考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1.VAB-10による細胞骨格制御の解析では使用した微小管レポーターが計画通りうまく機能した。DTC内での微小管の挙動を初めて明らかにし、核が微小管に沿ってキネシン依存的に運ばれることを初めて示した。 2.gon-1サプレッサーのひとつについてクローニングに成功し、gon-1変異体ではIV型collagenの基底膜局在が増加していることを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
1.DTC細胞骨格制御の解析では、核膜蛋白質UNC-83/KASHとUNC-84!SUNが核の移動の必須であることを突き止めているが、これらのタンパク質がDTC細胞の方向性のある移動にも必要であることを示すデータも得ている。これらの核膜蛋白質がどのように細胞移動に機能するのか、ガイド分子UNC-6/netrinとその受容体UNC-5との関係を追及していく。2.DTCの移動の制御に関しては、GON-1とFBL-1が互いに拮抗的に働くことから、これらの蛋白質の機能的なバランスがIV型コラーゲンの基底膜局在量を制御しているのではないかと考えている。今後は種々のアレルを用いて、詳細な解析を行い、モデルを検証する研究を進めていく。基底膜conagenの量をできるだけ正確に定量する必要があるが、Western blotとcollgaen IV::mCherryを用いた解析を行う予定である。
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