上皮の形態形成機構を、細胞の力学的性質とそのゆらぎに留意して追求した。まず細胞球形化による上皮陥入の力学に関してライブイメージングと遺伝解析により気管原基をタイミングよく陥入させるために必要な3つの要素:EGF-ERKシグナルとその下流で働くミオシン、細胞の分裂に先立つ細胞球形化、および中胚葉から作用するFGFによる細胞遊走運動を同定した。気管陥入は三重の補償機構に守られた攪乱に強い極めてロバストなしくみであることが示された。また管腔形成においてはアピカル細胞外基質が細胞の拡張力、伸長力のばらつきを均一化する役割を担うことで過剰なゆらぎを抑制し、適切なサイズ調節を可能にすることを明らかにした。
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