• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実績報告書

がん脈管形成の内因性制御機構

計画研究

研究領域がん微小環境ネットワークの統合的研究
研究課題/領域番号 22112006
研究機関東北大学

研究代表者

佐藤 靖史  東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50178779)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2015-03-31
キーワードVASH1 / 血管内皮細胞 / αチューブリン脱チロシン化 / 受容体internalization / SOD2 / SIRT1
研究実績の概要

VASH1はVEGFをはじめとして様々な血管新生の刺激に対して広いスペクトルムで血管新生を抑制し、腫瘍血管を成熟した正常血管構造に変換することを明らかにした。また、その広いスペクトルムでの血管新生抑制のメカニズムとして内皮細胞のαチューブリンを脱チロシン化する作用が重要であり、これによってVEGF受容体を初めとする増殖因子受容体のinternalizationが停止することで、リガンド結合によって受容体はリン酸化されるものの細胞内への刺激伝達が阻止されるという、前例の無い極めてユニークはメカニズムを見出した。また、VASH1はVEGFシグナルを遮断するにもかかわらず内皮細胞の障害は惹起せず、SOD2やSIRT1の発現誘導を介して内皮細胞の生存とストレス耐性を高める作用のあることを見出した。このようにVASH1は血管新生を阻止するばかりか、新生された血管を正常・安定化する作用があり、VEGFシグナル遮断に基づく内皮細胞の障害を予防する可能性を提示した。
さらに、公開されている成績のデータマイニングから、VASH1発現が低い乳癌患者の方が予後不良である事を確認し、内皮細胞におけるVASH1の発現を制御する機序として、特定のmicroRNAが関わっている可能性を示す成績を得た。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

最近、VEGFをはじめとした増殖因子のシグナル伝達において、リガンドが結合した受容体のinternalizationの重要性が指摘されている。VASH1は様々な血管新生刺激に対して広いスペクトルムで血管新生を抑制し、しかも内皮細胞を障害せず、腫瘍血管を成熟した正常血管構造に変換することを明らかにし、さらに、広いスペクトルムの血管新生を抑制する作用機序として内皮細胞のチューブリンを脱チロシン化する作用が重要で、これによってVEGF受容体などのinternalizationが停止することで、リガンド結合によって受容体はリン酸化されるものの、細胞内への刺激伝達は阻害されるという極めてユニークは機序を見出した。このような機序で作用する内因性因子としてはVASH1が初めてのものである。

今後の研究の推進方策

VASH1が内皮細胞のαチューブリンを脱チロシン化がVEGF受容体のinternalizationを阻害して細胞内シグナル伝達を阻止する事象に関して、VEGF受容体の局在を細胞レベルで明らかにし、さらにRabファミリー低分子量G蛋白との関連性を調べる。さらに、VASH受容体の単離・同定を目指しは、Protein-Protein Interaction ProfilingからVASH1蛋白と結合する蛋白のスクリーニングし、得られたVASH1と結合する蛋白の内で膜蛋白に注目し、VASH1が内皮細胞のαチューブリンを脱チロシン化する活性をリードアウトとして、ノックダウンしたときにαチューブリンの脱チロシン化が消失するものを選出する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Vasohibin-1 is a new predictor of disease-free survival in operated patients with renal cell carcinoma.2013

    • 著者名/発表者名
      Kanomata N
    • 雑誌名

      J Clin Pathol.

      巻: Epub ahead of print ページ: 未定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Proliferation and maturation of intratumoral blood vessels in non-small cell lung cancer.2013

    • 著者名/発表者名
      Yazdani S
    • 雑誌名

      Hum Pathol.

      巻: Epub ahead of print ページ: 未定

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Angiogenesis inhibitor vasohibin-1 enhances stress resistance of endothelial cells via induction of SOD2 and SIRT1.2012

    • 著者名/発表者名
      Miyashita H
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 7 ページ: e46459

    • DOI

      10.1371

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The prognostic significance of vasohibin-1 expression in patients with upper urinary tract urothelial carcinoma.2012

    • 著者名/発表者名
      Miyazaki Y
    • 雑誌名

      Clin Cancer Res.

      巻: 18 ページ: 4145-4153

    • DOI

      10.1158

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Vasohibin Family: Novel Regulators of Angiogenesis.2012

    • 著者名/発表者名
      Sato Y
    • 雑誌名

      Vascular Pharmacology

      巻: 56 ページ: 262-266

    • DOI

      10.1016

    • 査読あり
  • [学会発表] asohibin-1は血管内皮細胞の微小管の翻訳後修飾を介してVEGFシグナル伝達を制御する.2012

    • 著者名/発表者名
      小林美穂
    • 学会等名
      第35回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      福岡
    • 年月日
      2012-12-11 – 2012-12-14
  • [学会発表] The role of vasohibin family in tumor angiogenesis.2012

    • 著者名/発表者名
      Sato Y
    • 学会等名
      AVBS 20th Annual Scientific Meeting
    • 発表場所
      Gold Coast, Australia
    • 年月日
      2012-09-13 – 2012-09-16
    • 招待講演
  • [学会発表] The role of vasohibin family in tumor angiogenesis.2012

    • 著者名/発表者名
      Sato Y
    • 学会等名
      17th International Vascular Biology Meeting
    • 発表場所
      Wiesbaden, Germany
    • 年月日
      2012-06-02 – 2012-06-05
    • 招待講演

URL: 

公開日: 2018-02-02  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi