がん病態形成における、がん微小環境の重要性が注目されている。研究代表者らは、本研究で、血液線維素溶解系(線溶系)因子プラスミンの新規阻害剤のT細胞白血病・リンパ腫モデルへの投与が、マトリックスメタロプロテアーゼ-9の活性に依存したCD11b陽性F4/80陽性の骨髄由来細胞のがん組織への浸潤と、これに伴うリンパ腫の異常血管新生、及びその増殖を障害することを示した。また代表者らは、このプラスミン阻害剤が、CD45陽性CD11b陽性VEGFR-1陽性の骨髄由来細胞の動員抑制により、炎症性腸疾患にも有効であることを示し、がんを含む多くの疾患で、線溶系因子の創薬の標的分子としての重要性を示唆した。
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