研究領域 | 細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング |
研究課題/領域番号 |
22113002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松田 道行 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (10199812)
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研究分担者 |
清川 悦子 金沢医科大学, 医学部, 教授 (80300929)
平塚 拓也 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90641639)
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研究期間 (年度) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | FRET / 蛍光イメージング / がん / 神経発生 |
研究実績の概要 |
1.Needle lens等を用いた深部組織でのFRETイメージング: 平成23年度に開発したPKA活性を測定するトランスジェニックマウスおよびERK活性を測定するトランスジェニックマウスの脳組織において、Needle lensを用いたイメージングを行う技術を開発した。阻害剤を用いた実験により、神経細胞およびグリア細胞におけるPKAおよびERK活性の測定が可能であることを見出した。 2. 腸管神経細胞における情報伝達分子の意義の解明: neural crest derived cell (ENCC)におけるPKA、ERK、Rac1活性を可視化した。その結果、ENCCの運動とERKおよびRac1活性は非常によく相関することが分かった。一方、PKAはENCCの運動とほぼ逆相関することがわかった。すなわち、ENCCの発生過程において、ERKがアクセルを、PKAがブレーキの役割を担っており、Rac1を介したアクチン骨格の制御を通してENCCの分布を決定しているらしい。 3. 乳がん浸潤モデルでの細胞内情報伝達系のFRETイメージング: ERK活性を測定するトランスジェニックマウスとMMTV-Neuトランスジェニックマウスとを交配し、乳がんにおいて、ERK活性と細胞のがん化および浸潤、転移とどのような時空間的相関があるのかを解析した。まず、原発腫瘍においては、一見均一に見える腫瘍組織内に置いても、ERK活性の高い細胞から低い細胞までさまざまであり、これらが混在していることを見出した。この原発腫瘍を同系マウスの乳腺に移殖すると、すみやかに腫瘍ができるが、この移殖腫瘍でERK活性を観察するとほぼ均一であることが分かった。すなわち、原発腫瘍における腫瘍細胞の多様性は移殖腫瘍では観察できないことがわかり、組織学的にはほぼ同一の腫瘍でも性質が大きく異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
計画にあげた研究はすべて実施することができた。さらに、トランスジェニックマウスは予想より多くのものを作成し、腸管神経細胞におけるERKやPKA活性の測定など、計画を超える内容の研究を遂行することができている。
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今後の研究の推進方策 |
所定の計画通り遂行する予定である。
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