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2012 年度 実績報告書

骨の生体イメージングによる骨髄細胞・骨転移癌の遊走・分化やニッチ環境の可視化

計画研究

研究領域細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング
研究課題/領域番号 22113007
研究機関大阪大学

研究代表者

石井 優  大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授 (10324758)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2015-03-31
キーワード骨髄環境 / イメージング / ケモカイン / がん幹細胞 / 細胞動態 / 細胞分化 / ニッチ
研究実績の概要

本研究代表者は深部組織の観察に適した多光子励起顕微鏡を駆使して,動物を生かしたままの状態で組織・臓器を観察する研究を行ってきた。本研究ではこの方法をさらに改変・発展させ,慢性骨髄性白血病や多発性骨髄腫などの血液系悪性腫瘍の骨髄腔内での動態や,それらに対する細胞性免疫応答の可視化に取り組んでいる.平成24年度には,蛍光標識したbcr-abl発症白血病細胞を骨髄腔に定着させることに成功し,抗がん剤耐性がん幹細胞の動態やそのニッチ環境の可視化にむけて研究を進めた.さらにはbcr-abl発症白血病細胞にOVAペプチドを過剰発現させるがん細胞を作成しており,これとOT-I CD8+ T細胞を利用することで,白血病細胞のニッチ環境とその場での免疫応答(免疫除外)の解析系の確立にむけ進めた.さらに本研究では免疫不全マウスへのがん細胞移植(ゼノグラフト)系を用いて,蛍光標識したヒトがん細胞の動態(特に増殖と浸潤の時空間的解析)を行った.特に研究領域内の共同研究により,細胞周期・分裂を可視化する蛍光タンパク質Fucciを活用して、ヒト高浸潤性大腸がん細胞株HCT116の浸潤・転移の生体多光子励起イメージング解析を進めた.この方法論により、浸潤する細胞の微小な動態を1細胞レベルの高解像度で観察し、細胞周期と細胞浸潤能の関連性について詳細な解析を行い,分裂期にある細胞の方が高浸潤性であることが分かり,これを利用して浸潤性の高い細胞のみを色分けして分取することに成功した.さらにmicroarrayを用いて浸潤性のがん細胞に高く発現する分子を同定し,これが細胞周期依存性に細胞の動態・浸潤を制御していることを発見した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

骨髄内でのがん細胞イメージング系の確立,およびそれを活用したがん細胞ニッチ環境の可視化に成功しており,当初計画の通り順調に経過している.さらにはゼノグラフトを用いたがん細胞の浸潤・転移の可視化解析についても当初の計画を上回る形で進行しており,全体としては計画研究は順調に進行していると自己評価できる.

今後の研究の推進方策

骨髄内での造血系腫瘍のイメージング系,およびヒトがん細胞のゼノグラフト系における実験データはそれぞれに得られるデータの性格が異なる.平成25年度以降においては,これらの異なる実験系における解析結果を統合して検討する計画とし,がん細胞の動態やその微小環境による制御機構に関する,より普遍的な概念の創出を目指す.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (2件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Dynamic visualization of RANKL and Th17-mediated osteoclast function.2013

    • 著者名/発表者名
      Kikuta J, Wada Y, Kowada T, Wang Z, Sun-Wada G-H, Nishiyama I, Mizukami S, Maiya N, Yasuda H, Kumanogoh A, Kikuchi K, Germain RN, Ishii M
    • 雑誌名

      J. Clin. Invest.

      巻: 123 ページ: 866-873

    • DOI

      10.1172/JCI65054

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Systemic circulation and bone recruitment of osteoclast precursors tracked by using fluorescent imaging techniques.2013

    • 著者名/発表者名
      Manato Kotani
    • 雑誌名

      J. Immunol.

      巻: 190 ページ: 605-612

    • DOI

      10.4049/jimmunol.1201345

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Sphingosine-1-phosphate-mediated osteoclast precursor monocyte migration is a critical point of control in antibone-resorptive action of active vitamin D.2013

    • 著者名/発表者名
      Junichi Kikuta
    • 雑誌名

      Proc. Natl. Acad. Sci. USA

      巻: 110 ページ: 7009-7913

    • DOI

      10.1073/pnas.1218799110

    • 査読あり
  • [学会発表] Dynamic behaviors of osteoclast function visualized by intravital imaging2012

    • 著者名/発表者名
      Masaru Ishii
    • 学会等名
      Cold Spring Harbor Asia Conference
    • 発表場所
      Suzhou, China
    • 年月日
      2012-06-11 – 2012-06-15
    • 招待講演
  • [学会発表] Roles of S1P in osteoclast regulation and bone physiology.2012

    • 著者名/発表者名
      Masaru Ishii
    • 学会等名
      2012 Gordon Research Conference
    • 発表場所
      Il Ciocco, Italy
    • 年月日
      2012-04-22 – 2012-04-27
    • 招待講演

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公開日: 2018-02-02  

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