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2012 年度 実績報告書

生体イメージングによる血管新生シグナルの時空間制御機構の解明

計画研究

研究領域細胞機能と分子活性の多次元蛍光生体イメージング
研究課題/領域番号 22113009
研究機関独立行政法人国立循環器病研究センター

研究代表者

福原 茂朋  独立行政法人国立循環器病研究センター, 研究所, 室長 (70332880)

研究期間 (年度) 2010-04-01 – 2015-03-31
キーワードシグナル伝達 / 血管新生 / 蛍光生体イメージング / 細胞形態・運動 / 細胞増殖 / βカテニン / 尾側静脈
研究実績の概要

平成24年度は、ゼブラフィッシュの蛍光イメージングにより、血管形成における内皮細胞の“形態・運動能”、“細胞増殖”、“遺伝子発現”を制御する分子機序について解析し、以下の知見を明らかにした。

1.伸長する血管の先端に位置するTip細胞は、血管新生因子に反応して活発に細胞形態・運動能を変化させ、血管が伸長する方向を決定する。我々はこれまでに、Rhoファミリー低分子量G蛋白質の1つであるCdc42がフォルミンファミリーに属するアクチン制御因子Formin-like 3(Fmnl3)を介して糸状仮足を形成し、血管新生過程の内皮細胞形態を制御することを示している。本年度は、Cdc42によるFmnl3の活性化機序として、Cdc42がFmnl3のN末端領域に結合し、auto-inhibitionを解除することを示した。また、Cdc42の活性化因子としてArhgef9を同定した。
2.血管形成過程の内皮細胞の細胞周期を制御する遺伝子を同定するため、内皮細胞で細胞周期バイオセンサーFucciを発現するゼブラフィッシュを用いて、S/G2/M期およびG1期の内皮細胞をセルソーターにより単離し、DNAマイクロアレイ解析を行った。その結果、S/G2/M期の細胞周期が活発に回転した内皮細胞で発現する遺伝子として、hmgb1およびhgmb2を同定した。
3.生体の血管内皮細胞においてβカテニンの転写活性を可視化できるゼブラフィッシュを樹立し、解析した。その結果、尾側静脈の形成過程の内皮細胞でβカテニンの転写活性が高いことが分かった。また、Bone Morphogenetic Protein(BMP)がこのβカテニンの転写活性化を制御しており、さらに、このBMPによるβカテニンの活性化が、尾側静脈における内皮細胞の生存維持に必須であることを示した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成24年度は、当初の研究目標までほぼ到達することができた。また、血管形成における内皮細胞増殖制御メカニズムの解析で得られた研究成果に関する論文を、現在、学術誌に投稿中である。さらに、研究を進行する過程で、血管形成における遺伝子発現の重要性を認識し、新たに核転写調節因子βカテニンについて解析を開始した。以上の理由から、本研究はおおむね順調に進展していると考える。

今後の研究の推進方策

今後も、これまでと同様、血管形成における”内皮細胞の形態・運動能“、”内皮細胞の細胞増殖“を制御する分子メカニズムを、ゼブラフィッシュを用いた蛍光イメージングにより解析を行う。また、平成24年度から、新たに開始した、”血管形成における核転写因子βカテニンの役割“についても解析を進める。最終的には、これら解析で得られた知見を基に、血管形成において内皮細胞の“形態・運動”、“増殖”、“遺伝子発現”が、お互いにどのように制御しているのかさらに解析を進め、血管形成メカニズムの統合的な理解を目指す。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2013 2012 その他

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (5件) 図書 (4件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] PDZ-RhoGEF and LARG are essential for embryo development, and provide a link between thrombin and LPA receptors and Rho activation2013

    • 著者名/発表者名
      Mikelis C.M. et al.
    • 雑誌名

      J. Biol. Chem.

      巻: In press ページ: In press

    • DOI

      10.1074/jbc.M112.428599

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The sphingosine-1-phosphate transporter Spns2 expressed on endothelial cells2012

    • 著者名/発表者名
      Fukuhara S. et al.
    • 雑誌名

      J. Clin. Invest.

      巻: 122 ページ: 1416-1426

    • DOI

      10.1172/JCI60746.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Arhgef15 promotes retinal angiogenesis by mediating VEGF-induced Cdc42 activation and potentiating RhoJ inactivation in endothelial cells.2012

    • 著者名/発表者名
      Kusuhara S. et al.
    • 雑誌名

      PLOS. One

      巻: 7 ページ: E45858

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0045858

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cytochalasin D enhances the accumulation of a protease-resistant form of prion protein in ScN2a Cells: Involvement of PI3 kinase/Akt signaling pathway.2012

    • 著者名/発表者名
      Takenouchi T. et al.
    • 雑誌名

      Cell Biol. Int.

      巻: 36 ページ: 1223-1231

    • DOI

      10.1042/CBI20120329

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Tumor cell-derived angiopoietin-like protein ANGPTL2 is a critical driver of metastasis.2012

    • 著者名/発表者名
      Endo M. et al.
    • 雑誌名

      Cancer Res.

      巻: 72 ページ: 1784-1794

    • DOI

      10.1158/0008-5472.CAN-11-3878

    • 査読あり
  • [雑誌論文] A connexin 40 mutation associated with a malignant variant of progressive familial heart block type-1.2012

    • 著者名/発表者名
      Makita N. et al.
    • 雑誌名

      Circ. Arrhythm. Electrophysiol.

      巻: 5 ページ: 3508-3519

    • DOI

      10.1161/CIRCEP.111.967604

    • 査読あり
  • [学会発表] スフィンゴシン-1-リン酸を介した血管内皮細胞による免疫系の制御2013

    • 著者名/発表者名
      福原茂朋
    • 学会等名
      第42回日本心脈管作動物質学会
    • 発表場所
      奈良
    • 年月日
      2013-02-08
  • [学会発表] In vivo imaging of signal transduction pathways involved in angiogenesis2012

    • 著者名/発表者名
      Shigetomo Fukuhara
    • 学会等名
      The 10th Korea-Japan Joint Symposium on Vascular
    • 発表場所
      Tokushima, Japan
    • 年月日
      2012-12-05
  • [学会発表] スフィンゴシン-1-リン酸トランスポーターSpns2の生理的機能2012

    • 著者名/発表者名
      福原茂朋
    • 学会等名
      生理研研究会「細胞センサーの分子機構・相互関連・ネットワーク研究会」
    • 発表場所
      岡崎
    • 年月日
      2012-11-30
  • [学会発表] イメージングによる血管新生メカニズムの解析2012

    • 著者名/発表者名
      福原茂朋
    • 学会等名
      日本動物学会第83回大会
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      2012-09-13
  • [学会発表] 蛍光生体イメージングによる血管新生メカニズムの解析2012

    • 著者名/発表者名
      福原茂朋
    • 学会等名
      第22回日本数理生物学会
    • 発表場所
      岡山
    • 年月日
      2012-09-12
  • [図書] 血管新生研究の最先端、「血管新生に関わる細胞内シグナル伝達」2013

    • 著者名/発表者名
      福原 茂朋
    • 総ページ数
      8
    • 出版者
      医薬ジャーナル社
  • [図書] 血管新生研究の最先端、「in vivoイメージング」2013

    • 著者名/発表者名
      若山 勇紀、福原 茂朋
    • 総ページ数
      10
    • 出版者
      医薬ジャーナル社
  • [図書] Signaling pathways regulating endothelial cell-cell junctions as a barrier to tumor metastasis. In “Tight junctions in cancer metastasis”2013

    • 著者名/発表者名
      Fukuhara S. et al.
    • 総ページ数
      15
    • 出版者
      Springer
  • [図書] 再生医療、学会印象記「第19回日本血管生物医学会学術集会」2012

    • 著者名/発表者名
      福原 茂朋
    • 総ページ数
      2
    • 出版者
      メディカルビュー社
  • [備考]

    • URL

      http://www.ncvc.go.jp/res/divisions/structural_analysis/index.html

  • [備考]

    • URL

      http://plaza.umin.ac.jp/ncvc/index.html

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公開日: 2018-02-02  

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