計画研究
1. cagAトランスジェニックマウスにおける炎症・発がん増悪機構の解明DSSを持続投与したcagAトランスジェニック (Tg) マウスにおいて、炎症性腸炎が著しく増強されることを見出した。DSS誘発腸炎部位には低頻度ながら前がん状態としての異形成(dysplasia)が発生するが、DSS誘発腫瘍の形成頻度は正常マウスに比較してcagA-Tgマウスにおいて著しく増強した。そこで、cagA-Tgマウスにおいて炎症が増強する分子機構の本態を明らかにするため、NF-κBシグナル経路を中心に CagAの効果を検討した。その結果、CagAはNF-κBインヒビターの細胞内プールを減少させることを見出した。このIκB減少はCagA依存的なPAR1キナーゼの抑制に依存し、microtubulesの安定性が寄与するプロセスと考えられた。このため、CagA-Tgマウスは炎症惹起シグナルに対して過剰な反応を示すことにより、DSS依存的な大腸炎の増悪につながると考えられた。一方、CagAにより増悪した炎症は、発がんタンパク質としてのCagA活性を増強し、 Wntシグナルの異常な亢進ならびにp53変異の誘導が増強することが明らかとなった。以上の結果から、ピロリがんタンパク質CagAと炎症は、お互いの活性を増強しあうことにより炎症をともなう発がんプロセスを増強することが明らかとなった。2. Floxed cagA-Tgマウスを用いた消化管発がん実験マウスに cagAをコンディショナル発現させることで異型腺管が誘導されることを見出した。さらに、レーザーキャプチャーによりゲノムDNAを抽出後、次世代シーケンサーによるゲノムのdeep sequenceをおこなった結果、ピロリ菌誘発胃がんの発症において起始的役割を担いうる複数のゲノム変異の単離・同定に成功した
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Sci Rep
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http://www.microbiol.m.u-tokyo.ac.jp/