研究領域 | 感染・炎症が加速する発がんスパイラルとその遮断に向けた制がんベクトル変換 |
研究課題/領域番号 |
22114009
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
秋吉 一成 京都大学, 工学研究科, 教授 (90201285)
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研究分担者 |
松田 修 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00271164)
澤田 晋一 京都大学, 工学研究科, 助教 (50444104)
佐々木 善浩 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 准教授 (90314541)
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キーワード | ドラッグデリバリーシステム / ナノゲル / タンパク質デリバリー / 核酸デリバリー / エンドサイトーシス / 遺伝子導入 / シャペロン機能 |
研究概要 |
感染がんの発症メカニズムを理解しそれらを制御するには、その発がんスパイラル場(がん微小環境)を自在に操作する技術が必要である。そのためには、種々のサイトカインやsiRNA、miRNAなどの生理活性物質を、目的の部位、かつ必要な時間に、送達、発現、あるいは徐放させることのできるドラッグデリバリーシステム(DDS)の進展が望まれる。このDDS技術を利用することによって、宿主応答を「発がん促進」から「発がん阻止」に変換する制がんベクトル変換が可能となると思われる。本研究では、申請者が独自に展開しているナノゲル工学やシャペロン機能工学を駆使することにより種々のDDSを構築し、新規ワクチンの開発と核酸医薬やサイトカイン等の時間的、空間的徐放制御を行い、炎症などに引き起こされるがん微小環境の機能解明とそのがん微小環境を改変することによる発がんスパイラルの制御法を開発する。 これまでに機能化サイクロアミロース(CA)誘導体が核酸(プラスミドDNAおよびsiRNA)の細胞内デリバリーキャリアとして有用であることを見出している。本年度は、エンドソーム脱出機能を有する新規多糖ナノゲルシステムを開発した。siRNA、miRNA、遺伝子プラスミド(pDNA)などの核酸医薬の機能を効果的に発現するためには、それらの薬剤を細胞質に運ぶ必要がある。しかし、通常、ナノキャリアを用いた系ではエンドサイトーシスの取り込み経路で細胞内に取り込まれ、その後の細胞質への脱出が重要な課題となっている。我々は、生体内に存在するリン脂質分解酵素(ホスホリパーゼ)の機能に着目し、酵素反応による脂質膜の破壊を利用したpDNAのエンドソーム脱出促進機能を有するナノゲルシステムを考案した。疎水化カチオン性CAからなるナノゲルは、ホスホリパーゼA2(PLA2)およびpDNAと複合体を形成し、細胞内に同時に輸送可能で、その遺伝子発現効率を顕著に高めることを明らかにした。また、高分枝多糖を用いたシャペロン機能を有する新規ナノゲルの開発も行った。
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