微小カラムの配置を詳細に決定するため、微小カラムの細胞を高密度で染色しその座標取得を行う技術を開発した。この技術で得られたデータから、微小カラムがマウスの視覚野、体性感覚野および運動野を含む広い範囲に存在し、ほぼ同一の構造をとっていることが確認された。さらに、微小カラムは皮質に沿って周期的に配置しており、近似的に6角形の格子状の構造をとっていることが明らかとなった。またこの構造は細胞タイプ特異的であり、微小カラムからは他のタイプの興奮性細胞は排除されていることも分かった。 微小カラムが in vivo で機能単位として振る舞うかを調べるため、カルシウムイメージングを行った。実験系の改良により、多数の微小カラム細胞から良好な信号を取得することが可能となった。無刺激下での自発活動を測定したところ、微小カラム内の細胞が類似した時間パターンで活動していることが明らかとなった。この類似性は視覚野、体性感覚野および運動野で共通してみられた。また視覚刺激に対する応答性も微小カラム内で類似していることが明らかとなった。これらの結果より微小カラムが機能単位として振る舞うことが示された。 以上より、微小カラムが大脳新皮質の機能単位であることが明らかとなった。この結果は、多数の微小カラムによる並列処理が大脳新皮質の基本的な計算様式であることを示唆する。微小カラムは周期的に配置されているため、その並列処理は規則的かつ組織化された構造を持つ可能性がある。微小カラムさまざまな領野で共通であるため、感覚処理、運動制御、言語機能などの幅広い情報処理が微小カラムに依存した共通な処理基盤を持つと予想される。
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