• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2011 年度 実績報告書

マウス体性感覚系回路の発達期リモデリング

計画研究

研究領域メゾスコピック神経回路から探る脳の情報処理基盤
研究課題/領域番号 22115009
研究機関国立遺伝学研究所

研究代表者

岩里 琢治  国立遺伝学研究所, 個体遺伝研究系, 教授 (00311332)

キーワードマウス / 発生・分化 / 脳・神経 / 神経科学 / 遺伝子 / 発達 / 体性感覚系 / ノックアウト
研究概要

哺乳類の脳は高度な情報処理能力を持つが、その基盤となるのは、精緻に構築された神経回路である。動物が幼若期に外界からの刺激によるリモデリングを受けることが神経回路の精緻化に必要だが、その機構の大部分は未解明である。メゾ神経回路リモデリングの有力なモデルとして、マウスの体性感覚野に見られる「バレル」とよばれる組織学的構造の形成機構を明らかにすることを目的として研究を行った。平成23年度の主な進展は以下のとおりである:(1)前年までに開発に成功した「視床-皮質シナプスのプレ側とポスト側を同時標識できるシステム」を用いて、生後4日、5日、6日および16日目のマウスにおいて、NMDA受容体欠損細胞と正常細胞の間での、バレル細胞樹状突起のバレル中心への方向性とスパイン形態と密度を解析した。その結果、幼若マウスの大脳皮質におけるNDMA受容体の作用機序の一端が明らかとなった。現在、ノックアウト細胞の電気生理学的性質を理解するために、多点平面電極システムのセットアップを行い、条件検討中である。(2)バレル形成における皮質下のメカニズムはほとんど知られていない。視床および脳幹でのNMDA受容体の役割を知る目的で、視床特異的および脳幹特異的にNMDA受容体を欠損するマウスを作製し、そのバレル形成を組織学的に解析した。解析はまだ途中段階であるが、興味深い表現型が得られている。(3)アデニル酸シクラーゼ1(AC1)の全身性欠損マウスではバレル形成が障害されることから、AC1のバレル形成における重要性は明らかである。しかしながら、大脳皮質特異的AC1KOマウスではバレルはほとんど正常に形成される(Iwasato et al.,J.Neurosci.2008)。皮質下におけるAC1のバレル形成への関与の可能性を、視床特異的および脳幹特異的ノックアウトを作製することによって検討した。その結果、視床および脳幹のAC1のバレルおよびバレロイド形成における働きの一端が明らかになってきた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

いくつかの技術的困難にも直面したが、それぞれ解決することができた。研究全体としておおむね順調に進展している。

今後の研究の推進方策

特に問題はないので、当初の計画通り、遂行する。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (5件) 図書 (3件)

  • [雑誌論文] Role of adenylate cyclase 1 in retinofugal map development2011

    • 著者名/発表者名
      Dhande OS, Bhatt S, Anishchenko, Elstrott J, Iwasato T, Swindell EC, Xu HP, Jamrich M, Itohara S, Feller MB, Crair MC
    • 雑誌名

      J Comp Neurol

      巻: (Epub ahead)

    • DOI

      10.1002/cne.23000

    • 査読あり
  • [学会発表] Loss of Rac-GAP a-chimerin leads to alterations of emotional and cognitive behaviors in mice2011

    • 著者名/発表者名
      岩田亮平, 後藤大道, 田中三佳, 糸原重美, 岩里琢治
    • 学会等名
      Neuroscience 2011
    • 発表場所
      Washington, DC
    • 年月日
      20111112-20111126
  • [学会発表] Single cell labeling method reveals the precise developmental process of barrel neuron dendrites in somatosensory cortex of neonatal mice2011

    • 著者名/発表者名
      水野秀信, 齊藤芳和, 糸原重美, 岩里琢治
    • 学会等名
      Neuroscience 2011, Society for Neuroscience 41st annual meeting
    • 発表場所
      Washington D.C.
    • 年月日
      20111112-20111116
  • [学会発表] Loss of Rac-GAP a-chimerin leads to alterations of emotional and cognitive behaviors in mice2011

    • 著者名/発表者名
      岩田亮平, 後藤大道, 田中三佳, 糸原重美, 岩里琢治
    • 学会等名
      Molecular and cellular cognition society
    • 発表場所
      Washington, DC
    • 年月日
      20111110-20111111
  • [学会発表] Rac GAP a-キメリン欠損マウスの網羅的行動解析Comprehensive behavioral analysis of Rac-GAP a-chimaerin deficient mice2011

    • 著者名/発表者名
      岩田亮平, 後藤大道, 田中三佳, 糸原重美、岩里琢治
    • 学会等名
      第34回日本神経科学大会
    • 発表場所
      神奈川県横浜市
    • 年月日
      20110914-20110917
  • [学会発表] 高輝度単一細胞標識法による幼仔期体性感覚野におけるバレル細胞2011

    • 著者名/発表者名
      水野秀信, 齊藤芳和, 糸原重美, 岩里琢治
    • 学会等名
      Neuroscience2011(第34回日本神経科学大会)
    • 発表場所
      神奈川県横浜市
    • 年月日
      20110914-20110917
  • [図書] 行動遺伝学入門動物とヒトの"こころ"の科学2011

    • 著者名/発表者名
      岩里琢治
    • 総ページ数
      14
    • 出版者
      裳華房
  • [図書] <seriesモデル動物利用マニュアル>疾患モデルの作製と利用-脳・神経疾患2011

    • 著者名/発表者名
      岩里琢治, 糸原重美
    • 総ページ数
      12
    • 出版者
      LIFE-SCIENCE INFORMATION CENTER
  • [図書] <seriesモデル動物利用マニュアル>疾患モデルの作製と利用-脳・神経疾患2011

    • 著者名/発表者名
      岩里琢治
    • 総ページ数
      11
    • 出版者
      LIFE-SCIENCE INFORMATION CENTER

URL: 

公開日: 2013-06-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi