研究概要 |
1)抗BLT抗体の作製:Balb/c背景のBLT1欠損マウスにBLT1発現細胞を免疫することで、抗マウスBLT1単クローン抗体の樹立に成功した。この抗体は、マウス好中球やマクロファージを認識するのみならず、これらの細胞の除去に用いることが可能な抗体であった。(投稿準備中)BLT2抗体の作成も行っているが、平成23年3月の段階では樹立できていない。 2)BLT2による上皮細胞バリア機能維持の分子メカニズム:デキストラン硫酸誘発性の大腸炎モデルにおいて、BLT2欠損マウスは極めて重篤な病態を示した。マクロファージにおけるサイトカイン産生が大きく亢進していたことから、NF-kBシグナル伝達の解析を行ったが、BLT2による抑制効果は観察できなかった。そこでBLT2を発現させたMDCK細胞をモデル細胞とし、リガンドである12-HHT刺激依存性のバリア機能を上皮抵抗値(TER)とFITCデキストランの漏れ込みで検討したところ、BLT2発現細胞でバリア機能が大きく亢進していることがわかった。(Faseb J, 2010) 3)ゼブラフィッシュ発生におけるBLT受容体の役割:ゼブラフィッシュからBLT1,2と相同性を有する受容体を3種類見いだした。遺伝子導入実験によって一つがBLT1様、二つがBLT2様の薬理学的特性を有していることを確認した。これらに対するアンチセンス・モルフォリノを用いたノックダウン実験を行った結果、全てのBLT様受容体がゼブラフィッシュの初期胚発生に必須であることを見いだした。 4)12-HHT産生系路の同定:既にC18カラムを用いた固相抽出、逆相HPLC、質量分析計によって12-HHTの微量定量を行う系を構築した。
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