計画研究
1)抗BLT1抗体を用いた新規樹状細胞サブセットの同定:抗BLT1抗体発現の有無で規定される二つの樹状細胞(DC)サブセットについて以下の検討を行った。BLT1-high DCはBLT1-low DCと比較して、生理活性脂質産生能が高く、Th1, Th2誘導サイトカインの産生も高い。両者のDCの遺伝子発現プロファイリングを行った結果、いくつかの転写因子の発現の違いを見いだした。2)BLT2による上皮細胞バリア機能維持の分子メカニズム:皮膚創傷時に凝集する血小板から産生される12-HHTが、ケラチノサイトに発現するBLT2を活性化する結果、ケラチノサイトの遊走が更新し創傷治癒が促進されることが分かった。さらに血管病変を伴い、創傷治癒が遅延するdb/dbマウスの創傷治癒に、合成BLT2アゴニストが有効であることが分かった。3)12-HHT産生系路の同定:確立したエイコサノイド一斉定量系を用いてBLT2リガンドである12-HHTの産生系路を検討した。シクロオキシゲナーゼとトロンボキサン合成酵素の両者があれば、TxA2と12-HHTが同程度酸生成されるが、シクロオキシゲナーゼ単独の場合は、12-HHTのみが産生されることが分かった。また、トロンボキサン合成酵素阻害薬で血液を処理した場合や、トロンボキサン合成酵素欠損マウスでは、TxA2の産生が減少するのみならず、PGE2産生が亢進することが分かり、トロンボキサン合成酵素阻害薬の副作用の発現の機序であると考えられた。4)BLT2欠損マウスの解析:BLT2欠損マウスでは、卵白アルブミン依存性の気道過敏性の上昇が、野性型マウスに比べて更新した。BLT2刺激によってCD4陽性リンパ球からのIL-13の産生が抑制されていることが分かった。
2: おおむね順調に進展している
BLT1, BLT2を用いた解析は順調に推移している。BLT2欠損マウスにおける気道過敏性の亢進や、BLT1発現によって規定される樹状細胞サブセットの違いは、当初予想もしなかった結果である。一方、孤児受容体を用いた新規脂溶性メディエーターの発見に関しては、鋭意、実験を行っているが、現時点で明確な初期反応が得られていない。
新規脂溶性メディエーターの同定に関しては、アッセイ法の高感度化を行うと共に、より広範な生体材料を対象とするなど、検索対象を拡大していく。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (14件) (うち招待講演 5件) 図書 (1件) 備考 (2件)
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