計画研究
班友・川原との共同研究により、zebrafishにおける機能的なプロスタノイド受容体cDNAを単離・同定した。プロスタノイド受容体は、哺乳類で計8種類存在するが、zebrafishでは、計12種類の受容体として存在すること、EP受容体については、哺乳類のEPサブタイプ選択的な薬物により活性を模倣・遮断できることを発見した。魚類では多種類のプロスタノイド受容体が哺乳類よりもさらに細分化された機能を発揮している可能性が考えられた。脂肪細胞の分化・成熟におけるPG受容体シグナルの役割を検討するため、野生型ならびにEP4受容体欠損マウスの胎児線維芽細胞を調製し、脂肪細胞への分化処理を行ったところ、EP4欠損細胞では分化した脂肪細胞の数が有意に亢進し、同様の効果は、野生型細胞をインドメタシン処理した場合にも再現された。興味深いことに、分化誘導刺激直後にCOX-2が誘導され、これにより一過性にPGE_2産生が亢進することを見出した。従って、間葉系幹細胞は、分化誘導刺激に曝されると、COX2-PGE_2-EP4受容体のネガティブフィードバック機構により、脂肪細胞への分化を抑制しているものと推察された。FP受容体欠損マウスでは、黄体退縮不全により分娩が消失するが、卵巣切除により分娩が回復する。ところが、卵巣切除による分娩は、インドメタシンで遅延しPG投与で回復したことから、FP以外のCa共役PG受容体が分娩誘導に寄与することが示唆された。そこで、Ca共役型PG受容体(FP/EP1/EP3)のトリプル欠損マウスを作成し、その卵巣切除による分娩を調べたところ、本マウスはFP欠損マウスに比して分娩が顕著に遅延し、胎児は全て死亡した。加えて、本マウスは雌性生殖機能に新たな表現型を示すことを見出した。
3: やや遅れている
ゼブラフィッシュにおける12種類のプロスタグランジン受容体のうち、1種類の全長cDNAの単離が遅れ、ノックダウンによる網羅的な機能解析の時期がやや遅れた。
班友・川原(理研)の協力の下、24年度すぐにゼブラフィッシュのPG受容体の網羅的な機能解析を推進し、遅れを取り戻す。また雌性生殖生理におけるプロスタグランジン機能解析を推進するため、質量分析センター(東大)を活用し、脂質メディエーター間の相互作用を統合的に理解する。
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